20グレイテスト・ヒッツ

ビートルズ『20グレイテスト・ヒッツ』：輝かしい軌跡と意外なチャート結果

1982年12月1日、ビートルズのベストアルバム『20グレイテスト・ヒッツ』(20 Greatest Hits)がアナログLPでリリースされました。このアルバムは、アメリカとイギリスの両国でチャート1位を獲得した楽曲を厳選したもので、地域によって収録曲に違いがあることが大きな特徴です。日本ではアメリカ盤が発売されました。

この『20グレイテスト・ヒッツ』は、後に2000年に発売される大ヒットベストアルバム『ザ・ビートルズ1』へと繋がる重要な作品と言えます。『ザ・ビートルズ1』は、まさに『20グレイテスト・ヒッツ』を拡大したような内容になっています。

興味深いのは、そのチャート成績です。イギリスの『ミュージック・ウィーク』誌では最高10位、アメリカの『ビルボード』誌では最高50位(2週連続)、『キャッシュボックス』誌では最高75位と、意外にも高順位ではありませんでした。しかしながら、アメリカだけで200万枚以上のセールスを記録するなど、商業的な成功は収めています。この成功の裏には、ビートルズという圧倒的な人気と、厳選された楽曲の素晴らしさが大きく貢献していると言えるでしょう。

このアルバムのリリースを最後に、ビートルズの公式ベスト盤は1988年まで制作されなくなります。ただし、1985年にはEMIが未発表曲集『セッションズ』の企画を進めていたものの、最終的には発表されませんでした。この事実からも、この『20グレイテスト・ヒッツ』が、ある意味一つの区切りとなる作品だったことがわかります。

収録曲：英国盤と米国盤の違い

『20グレイテスト・ヒッツ』は、英国盤と米国盤で収録曲が異なります。それぞれのトラックリストは以下のとおりです。

英国盤

A面
1. ラヴ・ミー・ドゥ (Love Me Do)
2. フロム・ミー・トゥ・ユー (From Me to You)
3. シー・ラヴズ・ユー (She Loves You)
4. 抱きしめたい (I Want to Hold Your Hand)
5. キャント・バイ・ミー・ラヴ (Can't Buy Me Love)
6. ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ! (A Hard Day's Night)
7. アイ・フィール・ファイン (I Feel Fine)
8. 涙の乗車券 (Ticket to Ride)
9. ヘルプ! (Help!)
10. イエスタデイ (Yesterday)
11. 恋を抱きしめよう (We Can Work It Out)

B面
1. ペイパーバック・ライター (Paperback Writer)
2. イエロー・サブマリン (Yellow Submarine)
3. エリナー・リグビー (Eleanor Rigby)
4. 愛こそはすべて (All You Need Is Love)
5. ハロー・グッバイ (Hello Goodbye)
6. レディ・マドンナ (Lady Madonna)
7. ヘイ・ジュード (Hey Jude)
8. ゲット・バック (Get Back)
9. ジョンとヨーコのバラード (The Ballad of John And Yoko)

米国盤

A面
1. シー・ラヴズ・ユー (She Loves You)
2. ラヴ・ミー・ドゥ (Love Me Do) (アメリカでは初のステレオ・バージョン)
3. 抱きしめたい (I Want to Hold Your Hand) (アメリカでは初のステレオ・バージョン)
4. キャント・バイ・ミー・ラヴ (Can't Buy Me Love)
5. ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ! (A Hard Day's Night) (アメリカでは初のステレオ・バージョン)
6. アイ・フィール・ファイン (I Feel Fine)
7. エイト・デイズ・ア・ウィーク (Eight Days a Week)
8. 涙の乗車券 (Ticket to Ride)
9. ヘルプ! (Help!)
10. イエスタデイ (Yesterday)
11. 恋を抱きしめよう (We Can Work It Out)
12. ペイパーバック・ライター (Paperback Writer)

B面
1. ペニー・レイン (Penny Lane) (アメリカでは初のステレオ・バージョン、ただし『レアリティーズ Vol.2』収録版を除く)
2. 愛こそはすべて (All You Need Is Love) (クレジットなし、フェイドアウトが早いショートバージョン)
3. ハロー・グッバイ (Hello Goodbye)
4. ヘイ・ジュード (ショートバージョン) (Hey Jude)
5. ゲット・バック (Get Back)
6. カム・トゥゲザー (Come Together)
7. レット・イット・ビー (Let It Be)
8. ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード (The Long and Winding Road)

米国盤では、いくつかの楽曲がステレオバージョンで収録されていることや、ショートバージョンが使われていることなど、英国盤との違いが顕著です。これらの違いは、それぞれの国の音楽市場や聴取者の好みに合わせた配慮の結果と言えるでしょう。

『20グレイテスト・ヒッツ』は、ビートルズの代表曲を網羅したベストアルバムとして、そして、彼らの音楽史における重要な転換点を示す作品として、今もなお多くのファンに愛されています。

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