2000年中華民国総統選挙

2000年中華民国総統選挙：政権交代の幕開け

2000年3月18日に行われた中華民国（台湾）総統選挙は、台湾の政治史において極めて重要な意味を持つ選挙でした。この選挙で、民主進歩党（民進党）の陳水扁と呂秀蓮が当選し、長きにわたる中国国民党（国民党）の政権が初めて交代することになったのです。

激しい選挙戦と政党分裂

選挙は、予想をはるかに超える接戦となりました。陳水扁・呂秀蓮組は39.3%の得票率で辛勝しましたが、無所属で立候補した宋楚瑜・張昭雄組は36.8%と僅差でした。国民党の連戦・蕭万長組は23.1%と3位に終わりました。

国民党の得票率が低迷した大きな要因は、党内分裂です。国民党から離党した宋楚瑜の立候補が、国民党支持層の票を分断する結果となったのです。宋楚瑜の離党の背景には、1998年に李登輝総統が台湾省の行政機能を凍結し、当時省長の宋楚瑜を解任したことがありました。宋楚瑜は連戦の国民党公認候補指名を受けて、国民党を離党、無所属での立候補を表明しました。無所属立候補には100万人の署名が必要でしたが、宋楚瑜陣営はそれを達成しました。

一方、民進党も内部分裂がありました。元党主席の許信良が陳水扁と党内公認候補の座を争い、党則に抵触する陳水扁の公認に異議を唱え、結局離党し無所属で立候補しました。しかし、陳水扁の高い支持率を背景に、党則が改定され、陳水扁が民進党公認候補に選ばれました。

選挙結果とその後

接戦の結果、民進党が勝利したことで、国民党内では李登輝総統の責任を追及する声が上がりました。外省人を中心とした国民党支持者による李登輝の党主席辞任を求めるデモも発生しました。この騒動を受けて、李登輝は任期途中で党主席を辞任し、連戦が後任となりました。

宋楚瑜は選挙後、親民党を結成しました。当初は連戦と対立していましたが、2001年に李登輝が国民党を離党したことで、状況は変化しました。宋楚瑜と李登輝は、民進党政権に対抗する勢力として接近し、「泛藍（泛青）」勢力を形成しました。一方、李登輝派の一部は台湾団結連盟を結成し、民進党と「泛緑（泛緑）」を形成しました。

選挙制度

総統候補は副総統候補とペアで立候補し、得票数の最も多いペアが当選します。任期は4年で、再選は1回のみです。選挙権は、台湾に6ヶ月以上居住する20歳以上の台湾国民に与えられ、在外住民も選挙権を有します。被選挙権は、台湾に6ヶ月以上居住し、中華民国国民として15年以上経過した40歳以上が条件ですが、国籍回復者や大陸地区からの移住者などは除かれます。立候補には、政党推薦や無所属の場合には一定数の署名が必要です。

候補者と選挙運動

選挙には、国民党、民進党、新党、そして無所属候補らが立候補しました。選挙運動は、それぞれの候補者が支持基盤固めや政策論戦を繰り広げ、台湾社会を大きく揺るがす激しい選挙戦となりました。

まとめ

2000年中華民国総統選挙は、台湾の民主化の進展と政権交代という歴史的転換点となりました。国民党の長期政権、そして李登輝時代の終焉を告げ、台湾の政治風景を大きく変えた選挙として記憶されています。この選挙は、台湾の民主主義の成熟を示す一方で、党内対立や複雑な政治状況も改めて浮き彫りにしました。この選挙を理解することは、現代台湾政治を理解する上で欠かせません。

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