2006年スロバキア国民議会選挙

2006年スロバキア国民議会選挙：政治の転換点

2006年6月17日、スロバキア国民議会（Národná rada Slovenskej republiky）の議員を選出するための選挙が行われました。この選挙は、1993年のチェコとの分離独立後4回目の選挙であり、任期を3ヶ月前倒して実施されました。

選挙の概要

議員定数: 150名
選挙権: 18歳以上
被選挙権: 21歳以上
選挙制度: 比例代表制（拘束名簿式、優先投票制度あり）
議席配分方法: 最大剰余方式（ドループ式）
阻止条項:
1政党：得票率5％以上
2～3政党の連合：7％以上
4政党以上の連合：10％以上

主要政党

本選挙では、以下の主要政党が候補者を擁立しました。

スロバキア民主キリスト教連合・民主党（SDKU-DS）: 中道右派。ミクラーシュ・ズリンダ政権の与党であったスロバキア民主・キリスト教連合（SDKU）に民主党（DS）が合流して結成されました。
方向（スメル）・社会民主主義（SMER-SD）: 中道左派。ロベルト・フィツォが党首を務め、民主左翼党（SLD）など中道左派系の諸政党を吸収して結成されました。
人民党・民主スロバキア運動（L'S-HZDS）: ヴラジミール・メチアル前首相の政党で、スロバキア人ナショナリズムとキリスト教伝統保守を掲げています。
キリスト教民主運動（KDH）: キリスト教民主主義を掲げ、共産党政権下で反体制運動に取り組んでいたカトリック系の活動家たちが中心となって結成されました。
スロバキア国民党（SNS）: スロバキア人ナショナリズムを代弁する政党です。
ハンガリー人連合党（SMK-MKP）: スロバキア国内に居住するハンガリー系少数民族の立場を代弁する政党です。

選挙結果とその後

選挙の結果、中道左派のSMER-SDが第1党となりました。これは、ズリンダ政権が推し進めた構造改革による格差拡大に対する国民の不満の表れでした。一方、ANOとKSSは議席阻止線を越えることができず、議席を失いました。

第1党となったSMERは、単独では過半数に届かなかったため、SNSとL'S-HZDSとの連立政権を樹立することで合意しました。そして、2006年7月4日、SMER党首のロベルト・フィツォが首相に就任しました。

この選挙は、スロバキアの政治において重要な転換点となり、その後の政局に大きな影響を与えました。

参考資料

Slovak Election Data Project
ポスト社会主義諸国の政党・選挙データベース作成研究会 編 CIAS Discussion Paper No.9『ポスト社会主義諸国政党・選挙ハンドブックⅠ』
統計局「Vorby do Narodnej rady Slovenskej republiky.2006」（国民議会選挙2006）

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