2008年中華民国総統選挙

2008年中華民国総統選挙：台湾の民意と政権交代

2008年3月22日に行われた中華民国総統選挙は、台湾の将来を大きく左右する選挙となりました。正式名称を「第12任総統副総統選挙」といい、総統と副総統を選出する選挙です。この選挙は、普通・平等・直接・秘密選挙の原則が採用されてから4回目の選挙にあたります。

選挙の背景

当時の現職総統であった陳水扁は、憲法の規定により3選禁止のため、この選挙には立候補できませんでした。陳水扁政権下では、閣僚や高官の汚職事件が相次ぎ、国民の間に不満が高まっていました。このことが、選挙結果に大きな影響を与えることになります。

選挙結果

選挙の結果、中国国民党の馬英九が、民主進歩党の謝長廷に220万票という大差をつけて当選しました。投票率は前回選挙を下回ったものの、多くの国民がこの選挙に関心を寄せていたことが伺えます。この選挙は、2000年の総統選挙で初めて政権交代を実現した民進党から、国民党への政権交代となり、台湾政治における大きな転換点となりました。

選挙制度

台湾の総統選挙は、総統候補と副総統候補がペアで出馬し、最も多くの票を獲得したペアが当選する仕組みです。選挙権は、台湾地区に6ヶ月以上在住する20歳以上の中華民国国民に与えられます。在外住民も選挙権を有します。

被選挙権は、台湾地区に6ヶ月以上在住し、中華民国国民として15年以上経過した40歳以上が有します。ただし、帰化した者や中国大陸から移住してきた国民は被選挙人として登録できません。

立候補には、政党の推薦を得るか、一定数以上の署名を集める必要があります。無所属で立候補する場合は、直近の立法委員選挙の有権者の1.5％以上の署名を提出する必要があります。

主な候補者と主張

馬英九（中国国民党）： 中国との統一共同市場の設立を推進し、大陸で取得した学歴や資格を台湾でも認めることを主張しました。「独立せず・統一せず・武力行使せず」の「三つのノー」を掲げ、中国との「両岸共同市場」構想を推進しました。
謝長廷（民主進歩党）： 中国との統一共同市場の設立に反対し、大陸で取得した学歴や資格を台湾で認めることに慎重な姿勢を示しました。「台湾運命共同体」という考え方を提唱し、台湾の主体性を重視する姿勢を打ち出しました。

立法委員選挙の結果

総統選挙の前哨戦として行われた立法委員選挙では、国民党が定数の3分の2を超える議席を獲得し、大勝しました。これにより、国民党は単独で総統を罷免できる権限を手に入れました。一方、民進党は惨敗し、議席を大幅に減らすことになりました。

国民投票

総統選挙と同時に、国際連合への加盟に関する国民投票も行われました。しかし、いずれの案も投票率が50％に満たず、否決されました。この結果は、台湾の国際的地位を巡る問題の複雑さを示唆しています。

選挙の争点

この選挙では、中国との関係が大きな争点となりました。馬英九は中国との経済的な連携を強化することを主張し、謝長廷は台湾の主体性を守ることを訴えました。また、李登輝元総統は、国の独立を守るために謝長廷への投票を呼びかけました。

まとめ

2008年の中華民国総統選挙は、台湾の政治、経済、そして国際的な地位に大きな影響を与える選挙でした。馬英九の勝利は、台湾と中国の関係に新たな局面をもたらし、その後の台湾の発展に大きな影響を与えました。この選挙は、台湾の民主主義の成熟を示すとともに、台湾の将来を考える上で重要な出来事として記憶されています。

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