2009年の日本競馬

2009年の日本競馬を振り返る

2009年（平成21年）の日本競馬界は、様々な記録の更新や新たな試み、そして時に痛ましい出来事に見舞われた一年でした。年初には早くも記録が生まれます。

記録と高配当

年明け間もない1月11日、京都競馬場の第3競走で、15番人気の馬が3着に入り、JRAの複勝式で史上最高となる1万2280円の配当を記録しました。これは1980年の記録を29年ぶりに更新するものでした。また2月4日には船橋競馬場の第7競走で、3連単が公営競馬史上最高額となる1911万円を記録するなど、高配当が競馬ファンを驚かせました。

10月11日の京都競馬場でも、12番人気→3番人気→15番人気の組み合わせで847万8840円の3連単が飛び出すなど、波乱のレースが複数見られました。特にワイドで10万2120円、3連複で152万2290円といった高額配当も発生し、競馬の予測不可能性を改めて示す一年でした。

騎手の記録と出来事

多くの騎手がキャリアにおける節目を迎えました。熊沢重文騎手がJRA通算1万2000回騎乗を達成（1月17日）。8月には横山典弘騎手が1万4000回騎乗、9月には蛯名正義騎手も1万4000回騎乗をそれぞれ達成しています。江田照男騎手もJRA通算1万回騎乗を記録しました（7月11日）。

新人騎手では、松山弘平騎手がデビュー日に初勝利を挙げ、自身の19歳の誕生日を飾りました（3月1日）。また、この年には国分恭介・優作の双子騎手が誕生し、13年ぶりの出来事として注目を集めました。

一方で、落馬や事故も発生しました。1月18日の中山競馬場では、吉田隼人騎手が騎乗馬の故障により落馬し負傷、馬は安楽死となりました。4月3日には美浦トレーニングセンターで調教中の馬に蹴られ、調教師の蛯名信広氏が死亡するという、JRA史上初の痛ましい事故も起きました。7月には札幌競馬場で多重落馬事故が発生し、馬が予後不良となるなど、競馬の危険性も浮き彫りになりました。

海外遠征中の出来事として、三浦皇成騎手がイギリスで海外初騎乗初勝利を達成した一方で（9月12日）、内田博幸騎手がイギリスでの不適切ムチ使用により騎乗停止処分を受けるなど、様々な側面が見られました。

有力馬の動向

前年の有馬記念を制したダイワスカーレットが繁殖入り（2月18日）。カネヒキリが屈腱炎克服後に骨折が判明（5月6日）。ディープスカイ、スクリーンヒーローといったGI馬が屈腱炎のため引退し種牡馬入りしました（8月19日、12月9日）。

この年の主要な活躍馬としては、年度代表馬に輝いたウオッカが挙げられます。ヴィクトリアマイルや安田記念などGIを制し、牝馬として史上初のJRA通算獲得賞金10億円を突破しました（10月11日）。また、牝馬三冠を目指したブエナビスタは秋華賞で入線順位からの降着を経験するなど、ドラマがありました（10月18日）。カンパニーが天皇賞・秋を8歳で制し、競走生活に有終の美を飾ったことも特筆されます（11月1日）。

白毛馬として交流重賞を制したユキチャンが地方へ移籍したことも話題となりました（9月3日）。

新たな取り組みとルール変更

競馬の運営やルールにも変更が見られました。JBC競走の船橋競馬場での初開催が決定し、JBCスプリントの距離変更も発表されました（1月23日）。JRAでは視認性を高めた新しいマークカード「ライトカード」が導入され、ダートコースの砂厚の一律化も発表されました（3月9日）。

地方競馬では、岩手競馬が全国で初めて騎手の成績に応じたハンデ制を導入（4月24日）。高知競馬では、日本初の「通年ナイター競馬」が開始されました（7月24日）。

投票関連では、JRAがGI週に限定してクイックピック投票の試験運用を開始（10月17日）。また、2011年度からのインターネット限定「5重勝単勝式」の導入が発表され（11月18日）、帯広競馬場では一足早く2010年1月からの5重勝単勝式発売が発表されました（12月28日）。

年間の締めくくり

年末には、美浦所属の騎手が窃盗容疑で逮捕されるという不祥事も発生しました（12月1日）。また、阪神競馬場や中京競馬場では複数頭が絡む落馬事故が起きるなど、最後まで緊迫した状況が見られました（12月6日、12月20日）。

記録面では、内田博幸騎手がJRA年間最多騎乗回数（955回）の新記録を樹立しました（12月20日）。

中央競馬の年間日程が終了し、リーディングジョッキーには内田博幸騎手が初めて輝きました。地方と中央の両方でリーディングを獲得したのは史上初の快挙です。リーディングトレーナーは藤沢和雄調教師が2年ぶり14回目の栄冠に輝きました（12月27日）。

この年、JRA賞年度代表馬にはウオッカが選ばれ、最優秀2歳牡馬ローズキングダム、牝馬アパパネなどが受賞しました。NARグランプリ年度代表馬にはラブミーチャンが選出されています。

2009年は、記録的な出来事や歴史的な快挙、そして改革への動きが見られた一方で、事故や不祥事も発生するなど、競馬界にとって多面的で記憶に残る一年となりました。

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