2009年マラウイ総選挙

2009年マラウイ総選挙

2009年5月19日、マラウイでは大統領選挙と国民議会議員選挙が同時に行われました。この選挙は、現職のビング・ワ・ムタリカ大統領（民主進歩党）が2期目を目指す選挙であり、マラウイの政治の方向性を左右する重要なものでした。

選挙の概要

大統領選挙には、ムタリカ大統領のほか、マラウイ会議党のジョン・テンボ代表など、計7名の候補者が出馬しました。事前の予想では、ムタリカ大統領とテンボ代表の一騎打ちになると見られていましたが、結果はムタリカ大統領が全体の3分の2近い票を獲得して圧勝しました。また、国民議会選挙でも、ムタリカ大統領の所属する民主進歩党が単独で過半数を獲得し、安定政権を築くこととなりました。

選挙に先立ち、2008年8月から有権者登録が開始されました。当初は11月末に締め切られる予定でしたが、登録に必要なデジタルカメラの問題が発生したため、12月中旬まで延長されました。また、2009年2月には国民議会および大統領の候補者指名が行われ、3月17日から5月17日までの期間、選挙運動が展開されました。

選挙前の動き

選挙前には、様々な動きがありました。民主進歩党は、2008年10月にムタリカ大統領を大統領選挙の公認候補として決定しました。一方、統一民主戦線では、バキリ・ムルジ前大統領の出馬が検討されましたが、憲法の規定により認められませんでした。ムルジ氏の出馬を巡っては、支持者による騒乱も予想されたため、日本政府はマラウイへの渡航に関する注意喚起を行ったほどでした。

マラウイ会議党のテンボ代表は、統一民主戦線との選挙協力を視野に入れ、有力な大統領候補として注目されていました。また、無所属のジェームス・ニョンド候補や、マラウイ初の女性大統領候補となったラブネス・ゴンドウェ候補も、それぞれ独自の政策を訴え、選挙戦を盛り上げました。

投票結果とその後

投票日当日、統一民主戦線のムルジ前大統領が所有するラジオ局が、ムタリカ大統領に対する社会風刺を行ったとして警察に閉鎖されるという事件が発生しました。しかし、選挙自体は概ね平穏に行われ、5月21日にはムタリカ大統領の当選が発表されました。

しかし、テンボ代表は、与党による不正行為があったとして、選挙結果に異議を申し立てました。EUの選挙監視団も、国営テレビが選挙キャンペーン中に与党を支持していたことを指摘しています。

国民議会選挙では、民主進歩党が114議席を獲得して過半数を制しました。マラウイ会議党は26議席、統一民主戦線は17議席にとどまりました。選挙後、当選した無所属議員の多くが民主進歩党に参加し、ムタリカ大統領の政権基盤はさらに強化されました。

5月22日、ムタリカ大統領とジョイス・バンダ副大統領は就任宣誓を行いました。マラウイ会議党はこの就任式をボイコットしましたが、ムルジ前大統領は出席しました。一部のマラウイ会議党議員は、ムタリカ大統領の勝利を認め、テンボ代表に辞任を求めました。

まとめ

2009年のマラウイ総選挙は、ムタリカ大統領の圧勝という結果に終わりました。この選挙を通じて、民主進歩党は安定政権を確立し、マラウイの政治は新たな時代を迎えました。しかし、選挙の過程では、不正疑惑やメディアの偏向など、様々な問題も浮き彫りになりました。マラウイの民主主義は、これらの課題を克服しながら、今後も発展していくことが期待されます。

もう一度検索