2010年のアメリカン・ル・マン・シリーズ

2010年アメリカン・ル・マン・シリーズ：激動のシーズンレビュー

2010年の[アメリカン・ル・マン・シリーズ]は、シリーズ12年目にして新たな歴史が刻まれたシーズンでした。メキシコのリキュールブランド、テキーラ・パトロンがタイトルスポンサーに就任し、シリーズのクラス構造も大きく変更されました。4クラス制となり、各カテゴリーで白熱した戦いが展開されました。

クラス構造とレギュレーション変更

最大の変更点は、クラス構造の刷新です。従来のLMP1とLMP2クラスが統合され、LMPクラスとして一本化されました。ただし、セブリング12時間レースとプチ・ル・マンでは、ACO（フランス西部自動車クラブ）のレギュレーションに従い、LMP1とLMP2は別クラスとして扱われました。この統合は、コスト削減とよりバランスのとれた競争環境を目指すIMSA（国際モータースポーツ協会）の意向によるものです。

また、新たなカテゴリーとしてLMPC（ル・マン・プロトタイプ・チャレンジ）クラスが導入されました。これは、若手ドライバーやアマチュアドライバー育成のためのクラスで、オレカ・FLM09シャシーとシボレー製V8エンジンを統一仕様とすることで、コストパフォーマンスに優れた競争を実現しました。GTクラスは従来のGT2クラスを改称したものであり、ALMSチャレンジカテゴリーはGTC（GTチャレンジ）と改名され、シーズン全戦に拡大されました。

各クラスの戦いと優勝者

LMPクラスでは、パトロン・ハイクロフト・レーシングが、デビッド・ブラバムと新加入のサイモン・パジェノの強力なドライバー陣でチャンピオンを獲得しました。2位に20ポイントの大差をつけ、圧倒的な強さを見せつけました。

GTクラスでは、フライング・リザード・モータースポーツのパトリック・ロングとヨルグ・ベルグマイスターが、強豪リシ・コンペツィオーネを抑え、栄冠を手にしました。

LMPCクラスでは、レベル5モータースポーツのスコット・タッカーが5勝を挙げる活躍でタイトルを獲得しました。

GTCクラスは、ブラック・スワン・レーシングのジェロエン・ブリークモレンとティム・パパスがチャンピオンに輝きました。

シーズンを通して

2010年シーズンのALMSは全9戦で構成され、セントピーターズバーグ戦がカレンダーから外れ、ラグナ・セカが最終戦から5月に変更、レース時間も4時間から6時間に延長されました。これに伴い、プチ・ル・マンが最終戦となりました。ユタ・グランプリはラグナ・セカの変更に合わせて7月に延期されました。また、プチ・ル・マンはインターコンチネンタル・ル・マン・カップの一部としても開催されました。

ポイントシステムは、各クラスの上位10位までのドライバーと車両に与えられ、複数台エントリーチームは最上位車両のみがポイント対象となりました。ドライバーは最低45分以上のドライブがポイント獲得条件でしたが、ロングビーチでは30分と短縮されました。ユタ以降は、コースの長さに応じた規定ラップ数の走行がポイント獲得条件に追加されました。

チームの動向

2010年シーズンは、チームの動向も注目されました。スコット・シャープがエクストリーム・スピード・モータースポーツを設立し、GTクラスに参戦。レイホール・レターマン・レーシングは主力ドライバーと再契約し、アキュラはハイクロフト・レーシングと共にシリーズ復帰を果たしました。オートコン・モータースポーツはピエール・エレットを起用し、インタースポーツ・レーシングはLMPCクラスに参戦しました。一方、ダッジ・バイパーはシリーズから撤退しました。

まとめ

2010年アメリカン・ル・マン・シリーズは、レギュレーション変更やチームの入れ替わりなど、激動のシーズンとなりました。しかし、各クラスで素晴らしい戦いが繰り広げられ、シリーズのレベルをさらに高めました。このシーズンは、ALMSの歴史における重要な転換期として記憶されることでしょう。そして、その激戦の記憶は、多くのファンに語り継がれていくことでしょう。

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