2010年イギリス総選挙

2010年イギリス総選挙：ハング・パーラメントと連立政権の誕生

2010年5月6日に行われたイギリス総選挙は、13年間続いた労働党政権の行方と、ゴードン・ブラウン首相の初めての選挙挑戦という点で注目を集めました。選挙は、5年ごとの下院議員の任期満了に伴い実施され、事前予想では与党労働党と最大野党保守党の支持率が拮抗し、いずれも過半数に届かないハング・パーラメント（宙ぶらりん議会）になる可能性が高いと見られていました。

選挙制度と選挙日程

イギリス議会は上院と下院から成りますが、選挙が行われるのは下院議員の選出のみです。選挙権は18歳以上のイギリス国籍保有者（英連邦・アイルランド共和国市民を含む）に与えられ、被選挙権も同様の要件を満たす者に認められています。下院議員の任期は5年ですが、解散の場合はその時点で終了します。今回の選挙では、定数650議席（前回より4議席増）を争いました。

選挙日程は以下の通りです。

4月6日：ブラウン首相がエリザベス女王に謁見し、選挙日程を発表。事実上の選挙戦開始
4月12日：下院解散。労働党と保守党がそれぞれマニフェストを発表
4月15日：主要3党党首によるテレビ討論会開催
5月6日：総選挙投票日
* 5月18日：新議会招集

選挙の争点と主要な出来事

この選挙の最大の争点は、1997年から続いた労働党政権への信任でした。ブラウン首相は就任以来一度も選挙で信任を得ておらず、その手腕が問われる選挙となりました。政策面では、労働党と保守党の政策の違いは縮まっており、党首の資質が重要な争点となりました。

選挙戦終盤、ブラウン首相は遊説中に女性有権者から厳しい批判を受け、その後車中で女性に関する暴言を吐いた音声がテレビで放送されるという事態が発生しました。この失言は労働党にとって大きな痛手となり、選挙結果に影響を与えたと考えられています。

選挙結果と連立政権

総選挙の結果、労働党は90議席以上を失い大敗しました。保守党が第1党となりましたが、過半数には届かず、36年ぶりのハング・パーラメントとなりました。保守党は第3党の自由民主党と連立政権を樹立することで合意し、キャメロンが首相に就任しました。

得票率では、保守党と労働党の合計が前回より2%減少。自由民主党は得票率23%に対し議席占有率は9%弱にとどまり、小選挙区制への批判が噴出しました。

まとめ

2010年イギリス総選挙は、予想外のハング・パーラメントという結果となり、長年続いた二大政党制に変化をもたらしました。ブラウン首相の失言や、小選挙区制の特性、そして保守党と自由民主党による連立政権の誕生は、イギリス政治史における重要な転換点となりました。この選挙は、党首の資質、選挙制度、そして世論の変動が選挙結果に大きな影響を与えることを改めて示しました。今後のイギリス政治にどのような影響を与えるのか、注目が集まります。

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