2011年のNFLドラフト

2011年NFLドラフト：新時代の幕開け

2011年のNFLドラフトは、第76回目のNFLドラフトとして、2011年4月28日から30日までの3日間、ニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールで開催されました。NFLの32チームが、未来を託す254名の選手たちを指名し、新たな才能がプロの世界へと飛び込みました。

ドラフトは、2010年のレギュラーシーズンおよびプレーオフの成績に基づき、最も成績の悪かったカロライナ・パンサーズから始まり、完全ウェーバー制で進められました。パンサーズは、全体1位で2010年のハイズマン賞受賞者であるオーバーン大学のキャム・ニュートンを指名。また、2009年のハイズマン賞受賞者マーク・イングラムも、1巡28位でニューオーリンズ・セインツに指名されました。2人以上のハイズマン賞受賞者が同時にドラフトで指名されたのは、今回で11度目。前年のサム・ブラッドフォード、ティム・ティーボウに続き、2年連続で複数の受賞者が指名されるという注目を集めました。

特に、全体6位までに指名された選手のうち5人がサウスイースタン・カンファレンス出身であり、同カンファレンスの層の厚さを示しました。さらに、全体1位、2位で指名された選手が、それぞれ最優秀新人攻撃部門、守備部門に選ばれるという快挙も達成。これは、1981年のジョージ・ロジャースとローレンス・テイラー、2010年のサム・ブラッドフォードとエンダムカン・スーに続き、史上3度目の出来事となりました。

各チームに与えられた持ち時間は、1巡が10分、2巡が7分、3巡以下が5分。1巡の指名には3時間28分、2巡の指名には2時間25分、3巡の指名には1時間41分が費やされました。4巡から7巡までの指名は2時間未満で終了しています。

アトランタ・ファルコンズは、クリーブランド・ブラウンズから全体6位指名権を獲得するために、1巡指名権を含む4つの指名権をトレード。この指名権で、フリオ・ジョーンズを獲得しました。

ワシントン大学のジェイク・ロッカーは、前年にアーリーエントリーしていれば全体1位指名を受ける可能性もありましたが、プロスタイルのオフェンスを学ぶことと、ボウルゲームにチームを導くことを優先し大学に残りました。しかし、その結果、契約金が数百万ドル減額されることとなりました。

アーリーエントリーの増加

3年生以下の選手56人が、アーリーエントリーを行いました。そのうち43人（76.8%）がドラフトで指名されています。全体1位で指名されたニュートンも3年生以下の選手であり、ドラフト全体1位で指名された選手は3年連続でアーリーエントリーした選手となりました。アーリーエントリーが導入されて以来、アーリーエントリー選手が全体1位で指名されたのは14回目であり、直近7年では6回目の指名。この年の指名上位10人中、ボン・ミラーとジェイク・ロッカーを除く8人がアーリーエントリー選手であり、1997年と2006年の6人を上回る新記録となりました。

労使協定とロックアウトの影響

オーナー側と選手側間で結ばれる[労使協定]が失効し、ロックアウトの最中にドラフトが開催されるという異例の事態となりました。そのため、例年とは異なり、現有選手のトレードやドラフト指名権のトレード（ドラフト指名権のみのトレードは可能）が制限され、ロックアウトが終了するまでドラフトで指名した選手やドラフト外選手との契約ができませんでした。

過去のドラフトとは異なり、全体1位指名権を持つパンサーズは、ドラフト指名前に選手と契約したり交渉したりすることができませんでした。また、ドラフト当日には、オーナー側によるロックアウトに怒った観客から、ロジャー・グッデルコミッショナーに対してブーイングが浴びせられました。

選手のトレードが制限されたため、2004年のドラフトで実現したイーライ・マニングとフィリップ・リバースのトレードのような大型トレードは不可能となりました。NFLは各チームに対し、将来のドラフト指名権を含んだトレードにはリスクがあることを伝えました。NFL選手会は、ドラフト候補選手に対し、ドラフトへの招待を断るよう要請しましたが、25人のドラフト候補生がイベントに出席。その中には、NFLを反トラスト法違反で訴えた原告の一人であるボン・ミラーも含まれていました。

新人選手との契約は7月29日まで解禁されず、例年行われるミニキャンプ、チーム合同練習（OTA）、トレーニングセッションがすべてキャンセルされました。

補足ドラフト

8月22日には補足ドラフトが実施され、6人の選手がエントリーしましたが、オークランド・レイダースが3巡でテレル・プライアーを指名したのみでした。レイダースは、この指名により2012年のドラフト3巡指名権を失いました。

2011年のNFLドラフトは、ロックアウトという特殊な状況下で行われただけでなく、アーリーエントリー選手の台頭、将来のスター候補生の登場など、多くの話題に彩られたドラフトとなりました。

もう一度検索