サム・ブラッドフォード

サミュエル・ブラッドフォード：輝きと苦難が交錯したNFLキャリア

サミュエル・ジェイコブ・ブラッドフォード（Samuel Jacob Bradford）は、1987年11月8日、オクラホマ州オクラホマシティで生まれました。彼はアメリカンフットボールの元選手で、ポジションはクォーターバック（QB）でした。NFLのセントルイス・ラムズなどで活躍しました。

プロ入りまでの道のり

ブラッドフォードは、地元の高校でフットボール、ゴルフ、バスケットボールをプレーし、才能を発揮しました。高校3年生のシーズンには、12試合で17タッチダウンを記録する活躍を見せ、その実績が認められ、オクラホマ大学からフットボール奨学生として迎えられました。大学では、カレッジフットボールに適合するためのレッドシャツシーズンを経て、2007年にデビューを果たしました。この年、3,121パスヤード、36タッチダウンパスという目覚ましい成績を記録しました。

2008年、カレッジフットボール2年目のシーズンには、NCAA史上最高得点を記録したチームを牽引し、4,720パスヤード、50タッチダウンという驚異的な数字を叩き出しました。この活躍により、彼は2年生として史上2人目となるハイズマン賞を受賞し、その名をカレッジフットボール界に轟かせました。

2010年のNFLドラフトでは、セントルイス・ラムズから1巡目全体1位という最高の評価を受け、NFLへの扉を開きました。

NFLでの活躍

セントルイス・ラムズ時代

2010年、全体1位指名でラムズに入団したブラッドフォードは、背番号8を選びました。これは、オクラホマ大学の先輩であり、殿堂入りも果たしている名選手トロイ・エイクマンへの敬意の表れでした。ラムズとの契約は、6年総額7800万ドル（5000万ドル保証）、最大8600万ドルという、当時のNFL新人としては過去最高の破格なものでした。

プレシーズンゲームでは控えQBとしてスタートしましたが、第3戦のニューイングランド・ペイトリオッツ戦で素晴らしいパフォーマンスを見せました。さらに、第4戦のボルチモア・レイブンズ戦では、A・J・フィーリーの負傷により先発出場すると、チームを勝利に導きました。プレシーズンゲームの結果、フィーリーとの先発争いを制し、開幕から先発QBとして起用されることになりました。

開幕後、チームは2連敗を喫しましたが、第3週のワシントン・レッドスキンズ戦で、ブラッドフォードは先発QBとして初勝利を飾りました。この勝利は、ラムズのホームでの連敗を13で止めるものでもありました。翌週のシアトル・シーホークス戦でも、289パスヤード、2タッチダウンの活躍を見せ、チームを勝利に導きました。この勝利は、ラムズにとって2007年11月以来となる地区内での勝利でした。

第8週のカロライナ・パンサーズ戦でも2タッチダウンを決め、シーズン前半の8試合を終えた時点で、ブラッドフォードは11タッチダウンを記録しました。これは、AFLとNFLが合併した1970年以降の新人としては最多タイ記録でした（ダン・マリーノ、ペイトン・マニング、ベン・ロスリスバーガーとタイ）。ブラッドフォードは、先発QBとして10月のラムズを3勝2敗に導き、1019パスヤード、7タッチダウン、3インターセプトという成績で、月間最優秀攻撃選手に選ばれました。

10月から11月21日のアトランタ・ファルコンズ戦でインターセプトを喫するまで、ブラッドフォードはインターセプトなしでパスを成功させる連続記録の新人記録を樹立しました（169回）。11月28日のデンバー・ブロンコス戦では敵地で勝利し、インターセプトなしで300ヤードを超えるパスを決めた初の新人選手となりました。11月も月間最優秀攻撃選手に選出されました。

最終戦の12月26日のシアトル・シーホークス戦で、ブラッドフォードは新人パス成功数（326回）と新人パス試投数（590回）で新記録を樹立しました。これらの記録は、いずれもペイトン・マニングが保持していたものでした。また、ルーキーイヤーに3000パスヤードを超えた3人目のQBとなり（ペイトン・マニング、マット・ライアンに次ぐ）、この年のAP通信最優秀新人攻撃選手に選ばれました。

2011年シーズンは、チーム全体で怪我人が続出し、ブラッドフォード自身も足首の怪我に苦しみました。その結果、2,164パスヤード、6タッチダウン、6インターセプトという成績に終わり、ブラッドフォードが出場した試合では1勝9敗、チームとしても2勝14敗という低迷したシーズンとなりました。

2012年シーズン、ラムズは前シーズンで2勝14敗と大きく負け越したため、このシーズンでの飛躍は期待されていませんでした。しかし、ブラッドフォードと新人選手が奮起し、7勝8敗1分とチーム成績を大きく改善しました。ブラッドフォードは第2週のワシントン・レッドスキンズ戦や第15週のミネソタ・バイキングス戦で300ヤードを超えるパスを投げ、シーズン成績では3702パスヤード、21タッチダウン13インターセプト、レーティング82.6と多くの項目でルーキーイヤーの成績を上回りました。

2013年シーズン、開幕戦のアリゾナ・カージナルス戦に勝利し、順調なスタートを切りました。しかし、第7週のカロライナ・パンサーズ戦で、アウト・オブ・バウンズに走り出る際にヒットを受け、左足の前十字靭帯を断裂する重傷を負い、シーズン絶望となりました。怪我をするまでの成績は、1,687パスヤード、14タッチダウン、4インターセプト、レーティング90.9という好成績でした。

2014年シーズン、プレシーズンゲームで再び左足の前十字靭帯断裂の怪我を負い、シーズンを全休しました。

フィラデルフィア・イーグルス時代

2015年3月、ブラッドフォードはニック・フォールズとのトレードでフィラデルフィア・イーグルスに移籍しました。開幕から先発QBを務めましたが、安定した成績を残すことができず、シーズン終了後にはイーグルスとの契約を延長したものの、チームがドラフトで新たなQBを獲得したため、トレードを希望しました。

ミネソタ・バイキングス時代

2016年9月、ブラッドフォードはミネソタ・バイキングスへトレードされました。これは、バイキングスの先発QBが怪我でシーズン絶望となったため、緊急の補強として成立したものでした。バイキングスでは、NFL記録となるパス成功率71.6%を記録するなど、素晴らしい活躍を見せました。

アリゾナ・カージナルス時代

2018年3月、ブラッドフォードはアリゾナ・カージナルスと契約しました。しかし、開幕から3試合で成績が振るわず、ルーキーQBとの交代を余儀なくされ、その後チームから放出されました。

度重なる怪我に苦しみながらも、その才能と記憶に残る記録でファンを魅了したサミュエル・ブラッドフォード。彼のNFLキャリアは、輝きと苦難が交錯したものでした。

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