2013年のインディカー・シリーズ

2013年インディカー・シリーズ：激動のシーズンとスコット・ディクソンの栄冠

2013年のインディカー・シリーズは、18回目のシーズンとして幕を開けました。この年は、ダラーラDW12によるワンメイクレース2シーズン目であり、前年チャンピオンのライアン・ハンター＝レイとシボレーがタイトル防衛に挑みました。

注目すべき変更点

このシーズンは、いくつかの重要な変更点がありました。まず、安全性を高めるため、DW12のモノコック内部にサイドインパクト・ストラクチャーが追加され、オーバルコースではブレーキディスクガードの装着が義務化されました。また、高速オーバルでのリアウィング形状が変更され、タイロッドの材質がアルミニウムに変更されるなど、マシンの改良が進みました。

エンジン供給はホンダとシボレーの2社が継続しましたが、燃料供給方式がダイレクトインジェクションに変更され、エンジンの交換基準も変更されました。さらに、「プッシュ・トゥ・パス」システムが時間制限から回数制限に変更されるなど、レース戦略にも影響を与える変更が加えられました。

スポーティングレギュレーションでは、スタート時の燃料規定が撤廃され、タイヤ損傷時のコンパウンド変更ルールが緩和されました。また、デトロイトのコースレイアウト変更や、一部レースでの距離変更も行われました。

カレンダーにおいては、エドモントンがカレンダーから外れ、ポコノ・レースウェイとヒューストンのリライアント・パーク市街地コースが復活しました。さらに、デトロイト、トロント、ヒューストンではダブルヘッダーが導入され、1イベント2レースという過密スケジュールが組まれました。ダブルヘッダーの第1レースではスタンディングスタートが採用され、戦略的な駆け引きが注目されました。

インディ500、ポコノ、オートクラブ・スピードウェイの3レースは「トリプルクラウン」として開催され、特別な賞金が用意されました。これらのレースでは、3列ローリングスタートが採用されました。ポイントシステムも変更され、リードラップ獲得によるボーナスポイントが導入されました。アイオワでは予選レースの順位に応じたボーナスポイントが与えられました。

ドライバーとチームの動き

このシーズンでは、いくつかのドライバーの移籍がありました。グラハム・レイホールはチップ・ガナッシ・レーシングからレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに移籍し、佐藤琢磨はレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングからA.J.フォイト・エンタープライズに移籍するなど、チームの陣容に変化が見られました。また、A.J.アルメンディンガーは薬物規定違反による一時離脱後、チームに復帰しました。ルーベンス・バリチェロはインディカーから撤退し、E.J.ヴィソは自身のチームを立ち上げました。

シーズン途中でも、パンサー・レーシングのJ.R.ヒルデブランドとの契約解除や、バラクーダ・レーシングのアレックス・タグリアーニのシーズン途中離脱など、いくつかの変更がありました。

シーズン展開と結果

2013年シーズンは、4人のドライバーが初優勝を果たすなど、激しい優勝争いが展開されました。最終的には、スコット・ディクソンが自身3度目のシリーズチャンピオンを獲得しました。ルーキー・オブ・ザ・イヤーにはトリスタン・ボーティエが輝きました。

マニュファクチャラーズチャンピオンシップでは、シボレーがホンダを抑えて2連覇を達成しました。インディ500はトニー・カナーンが制し、トリプルクラウンでは、ポコノでディクソン、フォンタナでウィル・パワーが優勝しました。ジェームズ・ヒンチクリフ、佐藤琢磨、サイモン・パジェノ、チャーリー・キンボールの4人が初優勝を飾りました。10人のドライバーが優勝するという、近年稀に見る激しいシーズンとなりました。

日本国内での放映は、GAORAが引き続き担当し、スカパー!やニコニコ生放送でも配信されました。アメリカ国内ではABCとNBCスポーツが中継を担当しました。

このシーズンは、マシンの改良、レギュレーションの変更、ドライバーの移籍、そして手に汗握るタイトル争いなど、多くのドラマが凝縮された、記憶に残るシーズンとなりました。スコット・ディクソンの3度目のタイトル獲得は、彼の経験と実力を示すものでした。

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