2014 AA

2014 AA：地球に接近し消滅した小惑星

2014年1月1日、地球近傍小惑星2014 AAがレモン山サーベイによって発見されました。発見からわずか数日後、地球への極めて接近を経て大気圏で消滅したと推定されています。この事実は、地球に衝突する前に天体が観測された、2008年の2008 TC3以来の2例目となる貴重な事例です。

発見と軌道の特性

2014 AAは、地球から約40万kmの距離で発見されました。発見時の視等級は19.1等級と非常に暗く、観測が困難でした。観測回数はわずか7回と少なく、軌道の正確な性質は不明な点が多いです。これは、発見から消滅までの期間が短く、年末年始という観測体制が整っていない時期だったことが要因として挙げられます。

その軌道は、近日点が地球軌道に、遠日点が火星軌道に接する地球近傍小惑星であると推定されています。地球および火星の軌道とわずかに重なり、公転周期は約459日（誤差±12日）です。2012年1[[1月1日]]から25日の間に近日点を通過したと推定されています。最も注目すべきは、地球軌道との最小距離がわずか約80kmであったことです。

地球への接近と消滅

2014年1月2日、2014 AAは地球に秒速約38kmという猛スピードで接近しました。ジェット推進研究所のデータベースによる計算では、地球中心からの最接近距離は2kmから570km、最大で35万kmと大きな誤差があります。しかし、最も可能性が高いのは、1時45分頃に地球の影に入り、3時0分頃に大気圏に突入して消滅したというシナリオです。

この推定を裏付ける証拠として、小天体が大気圏を通過する際に発生する特有の20Hz以下の低周波音波が、包括的核実験禁止条約機構の3ヶ所の観測所で検出されました。低周波音の検出は、音源の位置特定が困難な場合が多いですが、深夜という時間帯で人間の活動音が少なかったため、正確な位置特定に成功したと考えられます。大気圏突入地点は、南アメリカ大陸の北部からアフリカ大陸の中央部にかけてのどこか、可能性が高いのは西経40度・北緯12度付近の大西洋上だと推定されています。

物理的性質

2014 AAの絶対等級は30.944と非常に小さく、発見時点で絶対等級30以下の天体はわずか17個しかありませんでした。推定直径は1～4mと小さく、2008 TC3とは異なり、地表に隕石として残ることはなかったと推定されています。仮に地表に衝突していた場合、その威力はTNT換算で500～1000トン程度と推定されます。

まとめ

2014 AAは、その小さなサイズながらも、地球近傍小惑星の研究において貴重な情報を提供する事例となりました。地球への接近と大気圏突入という稀な現象は、将来的な地球への小惑星衝突リスクを評価する上で重要な知見となります。この事件は、地球近傍天体の監視と研究の重要性を改めて認識させるものでした。

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