2014年のインディカー・シリーズ

2014年ベライゾン・インディカー・シリーズ：激動のシーズンとウィル・パワーの戴冠

2014年のインディカー・シリーズは、シリーズ史上でも記憶に残る、劇的なシーズンとなりました。チャンピオンシップは最終戦まで大接戦となり、最終的にウィル・パワーが自身初のタイトルを獲得、チーム・ペンスキーにも2006年以来の栄冠をもたらしました。

11人の優勝者と接戦のチャンピオンシップ

このシーズンは実に11人のドライバーが優勝を飾りました。これは2000年と2001年と並ぶ記録です。最終戦を迎える時点では、ウィル・パワーがエリオ・カストロネベスに51ポイント差をつけて首位に立っていましたが、予断を許さない状況でした。最終戦では、ライアン・ハンターレイのスピンによる黄旗と、カストロネベスへのピットレーン違反によるペナルティがチャンピオンシップの行方を大きく左右しました。パワーは9位、カストロネベスは14位でフィニッシュし、パワーが62ポイント差で圧倒的な勝利を収めました。マニファクチャラーズタイトルはシボレーが2年連続で獲得しました。

参戦チームとドライバーの変動

2014年シーズンは、チームとドライバーの顔ぶれにも大きな変化がありました。

復帰と移籍: ファン・パブロ・モントーヤが13年ぶりにインディカーに復帰し、チーム・ペンスキーから参戦。カルロス・ムニョスはアンドレッティ・オートスポーツに移籍。トニー・カナーンはKVレーシング・テクノロジーからチップ・ガナッシ・レーシングへ移籍。セバスチャン・ボーデとセバスチャン・サーベドラは共にKVレーシング・テクノロジーへ加入しました。
引退: ダリオ・フランキッティが前シーズンの事故をきっかけに引退を発表。
ルーキー: 2010年フォーミュラ・ルノー3.5チャンピオンのミハイル・アリョーシンがサム・シュミット・モータースポーツからフル参戦を果たし、ロシア人ドライバーとして初めてシリーズに参戦しました。ライアン・ブリスコーもチップ・ガナッシ・レーシングから復帰しました。
チーム撤退: ドラゴン・レーシングはフォーミュラEへの参戦のためインディカーから撤退。パンサー・レーシングはスポンサー変更に伴い参戦を見送りました。シモーナ・デ・シルベストロもザウバーF1チームとの契約によりシリーズから離れました。

シャシーとタイヤ: シャシーはダラーラDW12、タイヤはファイアストンが供給。ファイアストンは2018年までの契約延長を発表していました。エンジン供給については、一部を除き詳細が非公開でした。

レーススケジュールと変更点

2014年シーズンのスケジュールは全18戦。デトロイト、ヒューストン、トロントではダブルヘッダーが開催されました。また、インディアナポリス、ポコノ、フォンタナの3レースで構成される「トリプルクラウン」が設定され、賞金が用意されました。

主な変更点としては、ポコノ戦の距離が400マイルから500マイルに延長されたこと、テキサス戦も距離が延長されたこと、インディアナポリス・モーター・スピードウェイにロードコースが追加され、インディ500の週末にレースが開催されたこと、アイオワ・スピードウェイが復活したことが挙げられます。一方、ボルチモア市街地コースとサンパウロ・インディ300はカレンダーから外れました。また、シリーズの冠スポンサーがアイゾッドからベライゾン・ワイヤレスに変更されました。

レース結果ハイライト

いくつかのレースを例に、そのハイライトを紹介します。

第1戦 セントピーターズバーグ: ウィル・パワーが勝利。マルコ・アンドレッティとジャック・ホークワースがクラッシュしました。
第2戦 ロングビーチ: マイク・コンウェイが勝利。複数台が絡む大きなクラッシュが発生しました。
第3戦 バーバー: ライアン・ハンターレイが勝利。豪雨と雷のためレースが遅延しました。
第4戦 インディアナポリスGP: サイモン・パジェノが勝利。スタート直後に大クラッシュが発生しました。
第5戦 インディ500: ライアン・ハンターレイが0.06秒差という僅差で勝利しました。
第6戦、7戦 デトロイト: ウィル・パワーとエリオ・カストロネベスがそれぞれ勝利しました。

ポイントシステム

ドライバーとマニファクチャラーのポイントシステムは複雑で、ラップリード、ポールポジション、エンジン交換などが考慮されていました。同ポイントの場合は、勝利数、2位入賞数などの順で順位が決定されました。

2014年シーズンは、まさに手に汗握る展開が続き、数々のドラマチックなレース、そしてウィル・パワーの戴冠で幕を閉じました。このシーズンはインディカーの歴史に刻まれた、記憶に残るシーズンとして語り継がれることでしょう。

もう一度検索