2015年ショアハム航空ショー墜落事故

2015年ショアハム航空ショー墜落事故の概要

2015年8月22日、イギリスのウェスト・サセックス州ブライトン・シティ空港で開催されたショアハム航空ショーで、痛ましい墜落事故が発生しました。この事故により11名が死亡、16名が負傷するという大惨事となり、イギリス国内の航空ショーにおける事故としては、1952年のファーンボロー航空ショー墜落事故に次ぐ規模となりました。

事故を起こしたのは、1機のホーカー ハンターT7戦闘機です。曲技飛行中に機体がコントロールを失い、空港に隣接する国道A27号線に墜落しました。操縦士であったアンディ・ヒルは重傷を負いましたが、奇跡的に一命を取り留めました。

事故原因の究明と裁判

事故後、航空事故調査局（AAIB）による徹底的な調査が行われました。その結果、事故原因はパイロットエラーであると結論付けられました。操縦士のヒルは2018年、11名の過失致死と航空機の器物損壊の疑いで起訴されましたが、翌年3月8日の判決で無罪となりました。また、航空ショーの主催者は事故の責任を否定しています。

2020年には事故に関する検討会が予定されていましたが、新型コロナウイルス感染症の流行により延期されました。

事故機と操縦士

事故を起こした機体は、1950年代に製造された複座のホーカー ハンターでした。1955年7月に英国空軍で初飛行を行い、一度火災による修復を経て1959年に再配備されました。1998年以降は民間の手に渡り、展示飛行に使用されていました。事故当時の所有者はグラハム・ピーコックで、エセックスのノース・ウィールド飛行場を拠点としていました。

操縦士のアンディー・ヒルは当時51歳で、総飛行時間は1万2千時間以上というベテランでした。ホーカー・シドレー ハリアーやBAC ジェット・プロヴォストの操縦経験があり、空軍時代には教官も務めていました。

事故当日の状況

ショアハム航空ショーは、王立空軍協会によって開催される2日間のイベントでした。事故当日は晴天で気温も高かったものの、珍しく15ノット近くの横風が吹いていました。午前の部には複数の航空チームが参加し、展示飛行を行いました。事故機が参加したのは午後の部でした。

事故機は離陸後、滑走路を南から北へ低空飛行で通過しました。その後旋回し、反対方向から飛行して空港手前でインサイドループを行うための急上昇を開始しました。しかし、必要な高度と速度に達することができず、ループを完了する前に国道A27号に墜落しました。

墜落時、道路を走行していた数台の自動車が巻き込まれ、機体は4つに分裂しました。また、燃料漏れによる火災が発生し、大きな火球が生じました。事故発生からわずか90秒後には消防車が到着し、消火活動が行われました。

事故による被害

この事故により、地上にいた11名が死亡、16名が負傷しました。死者の中には、地元サッカーチームの選手も含まれていました。また、8台の自動車が巻き込まれ、故障しました。操縦士のヒルは射出座席から投げ出され、重傷を負いましたが、その後回復しました。

事故機の残骸は、航空事故調査局によって回収され、調査のためにハンプシャー州ファーンバラの施設へ運ばれました。

事故の影響

事故発生時、既に離陸していたデ・ハビランド シービクセンは、上空を通過後、北へ向かいました。事故から約30分後に到着予定だった航空機はフライパストのみを行い、その後エアショーは中止となりました。空港内の全航空機は着陸しました。

事故機が墜落した高速A27号は両方向とも通行止めとなり、航空ショーの参加者は一時的に足止めされました。その後、駐車場からA27号へのアクセスが閉鎖され、徒歩での移動が許可されました。航空ショーの2日目は中止となり、高速道路は約1週間後に再開されました。

地元議会は追悼書を作成し、カウンティ議会と共に被害者救済のための基金を設立しました。2017年5月には、エイドゥー・ディストリクト・カウンシルがエイドゥー川の土手に慰霊碑を設置しました。

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