2018年のドイツツーリングカー選手権

2018年DTMシーズン：激動の幕切れと新たな時代の幕開け

2018年のドイツツーリングカー選手権(DTM)は、2000年の選手権再開以来19回目のシーズンであり、同時に自然吸気4.0リッターV8エンジン最後のシーズンとなりました。翌2019年シーズンからは、スーパーGTのGT500車両と同様の「クラス1」規定が導入されるためです。このシーズンは、長年に渡りDTMを戦ってきたメルセデスAMGが選手権から撤退し、フォーミュラEへ注力することを発表したことで、大きな転換期を迎えることとなりました。19年間のDTM参戦に終止符を打ったメルセデスAMGの去就は、多くの関係者に衝撃を与えました。

そんな激動のシーズンにおいて、ドライバーズチャンピオンの座を掴んだのはゲイリー・パフェットでした。シーズン最終戦で3位フィニッシュを果たしたパフェットは、自身2度目のタイトルを獲得。前年チャンピオンのレネ・ラストはシーズン終盤に6連勝という驚異的な記録を打ち立てましたが、パフェットには届かずランキング2位となりました。パフェットの優勝は、マティアス・エクストローム以来となる非ドイツ人ドライバーによる複数回タイトル獲得という快挙でもありました。

一方、マニファクチャラーズタイトルは、2010年以来となるメルセデスAMGが手にしました。これは、メルセデスAMGにとって、DTM撤退前の最後の栄冠となりました。

ルールの変更点

2018年シーズンでは、競争の激化を目的としたレギュレーション変更が複数導入されました。具体的には、サイドウィングレットやサイドフェンスなどの空力デバイスの規定変更により、全車のダウンフォース特性が変更され、最小重量が2,480ポンド(約1,125kg)から2,458ポンド(約1,115kg)に削減されました。

また、エンジンコンポーネントの使用数に関するルールも変更されました。以前はシーズンを通して7基のエンジンしか使用できませんでしたが、2018年シーズンからはエンジンコンポーネントを組み合わせた新しいシステムが導入され、各ドライバーは最大8つのエンジンセットを使用できるようになりました。

さらに、今シーズンから新たにワイルドカードエントリーが導入されました。ただし、ワイルドカードドライバーは、トップ10でフィニッシュしてもチャンピオンシップポイントの対象外となりました。

カレンダーの変更

2018年シーズンの開催スケジュールは、イギリスとイタリアでのレースが復帰したことが大きな特徴です。イギリスラウンドはブランズ・ハッチ・サーキットのGPレイアウトで開催され、イタリアラウンドはミサノ・ワールド・サーキットで、初めてナイトレースとして開催されました。モスクワ・レースウェイは、スケジュールから外されました。また、ユーロスピードウェイ・ラウジッツラウンドは、2004年以来となるフルロードコースレイアウトに戻って開催されました。

ドライバーの変更

2018年シーズンでは、多くのドライバーの変更がありました。長年DTMに参戦してきたマティアス・エクストロームはシリーズから引退し、世界ラリークロス選手権に参戦することとなりました。一方、アウディからはロビン・フラインスがDTMにデビューしました。また、エクストロームは自身のDTM引退を記念して、開幕戦ホッケンハイムで1回限りの出場を果たしました。

BMW陣営では、フィリップ・エングとジョエル・エリクソンがBMWチームRBMに加入し、ブルーノ・スペングラーのチームメイトとなりました。一方、マキシム・マルタンとトム・ブロンクビストはDTMを離れ、それぞれFIA世界耐久選手権とフォーミュラEに参戦することとなりました。

メルセデスAMG陣営では、パスカル・ウェーレインとダニエル・ジュンカデラがDTMに復帰。ロバート・ウィケンズとマロ・エンゲルはシリーズを離れ、それぞれインディカー・シリーズとフォーミュラEに参戦しました。

さらに、アレッサンドロ・ザナルディとセバスチャン・オジェがゲストドライバーとしてDTMに参戦しました。ザナルディはミサノでBMWモータースポーツから、オジェはレッドブル・リンクでHWAチームから参戦しました。

レース結果とランキング

2018年DTMシーズンは、最後までタイトル争いが激しく、多くのドラマが生まれました。最終的に、ゲイリー・パフェットがチャンピオンを獲得し、メルセデスAMGがマニファクチャラーズタイトルを獲得しました。各レースの結果、ドライバーズランキング、チームランキング、マニファクチャラーズランキングについては、公式記録を参照ください。このシーズンは、DTMの歴史における重要な転換点となり、新たな時代への幕開けとなりました。 V8エンジンの咆哮が消え、新たなテクノロジーが導入されることで、DTMは更なる進化を遂げることでしょう。

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