2022年の台風

2022年の台風に関する詳細な記録

2022年は、太平洋北西部と南シナ海で多数の熱帯低気圧が発生しました。これらの熱帯低気圧のうち、気象庁によって「台風」と定義されたものは25個に及び、これは平年並みの発生数です。日本への影響としては、接近数が11個、上陸数が3個と、こちらも平年並みでした。しかし、その動きは特異なものも多く、日本に大きな被害をもたらした台風も複数ありました。

2022年の台風の特徴

2022年の台風は、強いラニーニャ現象の影響を受け、日本近海で発生する台風が多かったことが特徴として挙げられます。特に、台風14号は日本に大きな被害をもたらし、気象庁は沖縄を除く地域で初めて台風による特別警報を発令しました。また、台風15号は静岡県に甚大な被害をもたらし、激甚災害に指定されました。これらの台風以外にも、台風11号は小笠原諸島を通過した後、沖縄付近まで南下してから北上して韓国に上陸するなど、異例の進路をたどりました。

月別の台風発生状況

4月には台風1号が発生しましたが、その後7月まではインド洋の対流活動が活発であったため、台風の発生数は平年を下回りました。しかし、8月下旬になると日本近海の対流活動が活発化し、熱帯低気圧の発生が急増しました。9月には、平年を大きく上回る7個の台風が発生しました。10月も対流活動は活発で、5個の台風が発生しましたが、その勢力は弱く、人的被害は台風22号がフィリピンで100人以上の死者を出す原因となるなど、大きな被害が出ました。

個別の台風の記録

以下に、2022年に発生した各台風の詳細な記録をまとめます。

台風1号（マラカス）

発生: 4月8日
特徴: 小笠原諸島に接近した後、日本の東へ進んだ。名前の「マラカス」はフィリピン語で「強い」を意味する。

台風2号（メーギー）

発生: 4月10日
特徴: 台風1号の影響で藤原効果が発生し、フィリピン付近に停滞。フィリピンで洪水や土砂崩れなどの被害が発生した。

台風3号（チャバ）

発生: 6月30日
特徴: 中国華南に上陸し、竜巻などの被害を引き起こした。名前の「チャバ」はタイ語で「ハイビスカス」を意味する。

台風4号（アイレー）

発生: 7月1日
特徴: 沖縄本島を通過後、長崎県に上陸し温帯低気圧になった。ゆっくりとした動きで、台風の東側で雨量が多くなった。名前の「アイレー」はマーシャル語で「嵐」を意味する。

台風5号（ソングダー）

発生: 7月28日
特徴: 異例の速度で奄美大島に接近。発生前から日本上空に暖気を送り込み、各地でゲリラ豪雨を発生させた。名前の「ソングダー」はベトナム語で川の名前を表す。

台風6号（トローセス）

発生: 7月31日
特徴: 沖縄本島上空で発生し、済州島に上陸。元台風6号の低気圧により、東北から北陸で線状降水帯が発生した。名前の「トローセス」はカンボジア語でキツツキを表す。

台風7号（ムーラン）

発生: 8月9日
特徴: 海南島に上陸し、ベトナム北部まで進んだ。ベトナムと海南島で計7人が死亡した。名前の「ムーラン」は中国語でモクレンを表す。

台風8号（メアリー）

発生: 8月12日
特徴: 静岡県の伊豆半島に上陸。伊豆諸島北部で線状降水帯が発生し、日本では2人が死亡した。名前の「メアリー」は朝鮮語で「やまびこ」を意味する。

台風9号（マーゴン）

発生: 8月22日
特徴: フィリピン北部と中国広東省に上陸。フィリピンで4人が死亡、6人が負傷した。名前の「マーゴン」は香港で馬鞍山を表す。

台風10号（トカゲ）

発生: 8月22日
特徴: 南鳥島近海で発生し、千島の東で温帯低気圧になった。名前の「トカゲ」は日本語でトカゲ座を表す。

台風11号（ヒンナムノー）

発生: 8月28日
特徴: 韓国に上陸し、韓国や日本で死者が出た。フィリピンにも影響を与えた。名前の「ヒンナムノー」はラオスにある自然保護区に由来する。

台風12号（ムイファー）

発生: 9月8日
特徴: 沖縄県の石垣島を通過した後、中国の浙江省に上陸。上海に上陸した台風の中では、1949年以降最強の勢力となった。名前の「ムイファー」はマカオで梅の花を表す。

台風13号（マールボック）

発生: 9月12日
特徴: 温帯低気圧に変わった後、アラスカ州に過去50年で最悪とされる洪水被害をもたらした。名前の「マールボック」はマレーシアでチョウショウバトを表す。

台風14号（ナンマドル）

発生: 9月14日
特徴: 猛烈な勢力で鹿児島県に接近、上陸。沖縄を除く地域で史上初の特別警報が発令された。上陸時の中心気圧は940hPaで、2000年以降では最も低い気圧となった。名前の「ナンマドル」はミクロネシアにある遺跡の名前を表す。

台風15号（タラス）

発生: 9月22日
特徴: 静岡県に接近し、観測史上1位となる大雨をもたらし、インフラに大きな被害を与えた。名前の「タラス」はフィリピンで鋭さを表す。

台風16号（ノルー）

発生: 9月23日
特徴: フィリピンのルソン島に上陸後、ベトナム中部に上陸。ベトナムに上陸する台風としては過去20年間で最強と見られた。名前の「ノルー」は韓国語でのろじかを表す。

台風17号（クラー）

発生: 9月26日
特徴: 日本の東で温帯低気圧になった。名前の「クラー」はタイ語でバラを表す。

台風18号（ロウキー）

発生: 9月28日
特徴: 3年ぶりに日本に接近した台風。日本の東で温帯低気圧になった。名前の「ロウキー」は米国で男性の名前を表す。

台風19号（ソンカー）

発生: 10月14日
特徴: 発生から熱帯低気圧に変わるまで18時間と、2022年で最も短命な台風。名前の「ソンカー」はベトナム語でヒバリを表す。

台風20号（ネサット）

発生: 10月15日
特徴: 台湾には上陸しなかったものの、豪雨をもたらした。名前の「ネサット」はカンボジア語で漁師を表す。

台風21号（ハイタン）

発生: 10月18日
特徴: 温帯低気圧から変化した珍しい台風。名前の「ハイタン」は中国語でハナカイドウを表す。

台風22号（ナルガエ）

発生: 10月27日
特徴: フィリピンで100人以上の死者を出す原因となった。名前の「ナルガエ」は朝鮮民主主義人民共和国で翼を表す。

台風23号（バンヤン）

発生: 10月31日
特徴: 短時間で消滅した。名前の「バンヤン」は香港でヤシの木を表す。

台風24号（ヤマネコ）

発生: 11月12日
特徴: ウェーク島近海で発生し、熱帯低気圧に降格。名前の「ヤマネコ」は日本でヤマネコを表す。

台風25号（パカー）

発生: 12月11日
特徴: 鉄砲水により8人の死者を出した。名前の「パカー」はラオスで淡水魚の名前を表す。

気象庁が台風に分類しなかった熱帯低気圧

気象庁が「台風」と分類しなかった熱帯低気圧も多数存在しました。これらの熱帯低気圧は、合同台風警報センター(JTWC)によって熱帯低気圧として認識され、番号が振られています。また、フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)がフィリピン名を命名しているものもあります。以下に主なものを記載します。

TD01W(ONE)：3月30日に発生。ベトナムに上陸し7人が死亡。
JMA TD 04: 5月30日に発生したが同日に消滅。
JMA TD 07: 7月24日に発生したが翌日に消滅。湿った空気の影響で大雨を降らせた。
TD08W(EIGHT): 8月4日に発生。気象庁は台風に発達するリスクがないと評価。
JMA TD 13(INVEST 92W): 8月14日に発生。元々メキシコ西方沖で発生した熱帯低気圧。
TD13W(ガルドー): 8月30日に発生。台風11号に吸収されたとみられる。
TD/INVEST 98W(メイメイ): 10月11日に発生。10月12日に消滅。
TS21W (TWENTY ONE)：10月13日に発生。台風に発達する恐れがあるとされたが、温帯低気圧になった。
TD25W（オベット）: 10月18日に発生。台風20号を追うように進んだが10月23日に消失。

その他、6月24日、8月22日、9月9日（2個）、9月26日には、気象庁により熱帯低気圧が解析されています。

まとめ

2022年は、平年並みの数の台風が発生しましたが、その動きは特異なものが多く、大きな被害をもたらした台風も複数ありました。これらの記録を通じて、今後の台風対策に役立てていただければ幸いです。

出典

気象庁
台風情報
台風位置表　令和4年（2022年）
台風経路図　令和4年（2022年）
国立情報学研究所
デジタル台風
デジタル台風：ニュース・ウェブログ2022年
合同台風警報センター (JTWC)
世界気象機関 (WMO) Severe Weather Information Centre
フィリピン大気地球物理天文局 (PAGASA)
アメリカ海軍調査研究所 NRL Tropical Cyclone Page
* 民間気象機関 Weather Underground Hurricane and Tropical Cyclones

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