2023年の映画

2023年の映画業界動向

2023年は映画界において特筆すべき出来事が多く、世界中の映画ファンや業界関係者に影響を与えました。当年の主な出来事を以下にまとめます。

世界の映画業界

初めに、1月には1968年の名作『ロミオとジュリエット』の主演俳優、オリビア・ハッセーとレナード・ホワイティングが、劇中のヌードシーンが児童虐待に相当するとの理由から、パラマウント・ピクチャーズに対して損害賠償を求める訴訟を提起したことが大きな話題となりました。彼らの弁護士がこの情報を公表したのは1月3日で、映画業界における倫理的な議論を再燃させました。

次に、1月30日には『ゴールデンラズベリー賞』の選考委員会が、12歳の子役が最低女優賞にノミネートされたことに対して批判が集中し、その後ノミネートを撤回したニュースも注目を集めました。この件は、若手俳優に対する扱いや映画業界の倫理についての議論を強化する一因となりました。

2月には有名俳優ブルース・ウィリスが認知症に罹患していることが家族により発表され、多くのファンに衝撃を与えました。彼は『ダイ・ハード』での主役を始め、数々の名作に出演してきました。

また、5月には第76回カンヌ国際映画祭で日本の俳優役所広司が男優賞を受賞し、坂元裕二が脚本賞に輝くという快挙がありました。日本人がこの賞を受賞するのは2004年の柳楽優弥以来二人目となります。

9月には第80回ヴェネツィア国際映画祭で日本の濱口竜介監督の新作が審査員グランプリを受賞しました。このような国際的な評価は、日本の映画産業の存在感を強める要因となっています。

日本の映画業界

日本に目を向けると、2月には東映の第6代社長である手塚治氏が肺動脈血栓により62歳で死去し、その後任として新たに吉村文雄氏が社長に就任しました。この人事は、映画業界の新しい方向性を示すものとして注目されました。

3月には日本アカデミー賞の授賞式が行われ、『ある男』が作品賞を受賞し、主演男優賞と主演女優賞もそれぞれ妻夫木聡と岸井ゆきのが受賞しました。これにより、日本の映画業界は更なる発展を期待される状況となりました。

6月には、映画『緊急取調室 THE FINAL』の公開が無期限延期されることが発表され、業界内の様々な課題が表面化しました。特に、出演者の状況把握の難しさから、柔軟な対応が求められるようです。

年末には福岡県北九州市の映画館『小倉昭和館』が再建され、地域に再び映画文化をもたらす姿勢が見にじる結果となりました。

興行収入の回復

2023年の日本の映画興行において、入場者数は1億5553万人、興行収入は2214億8200万円に達しました。この数字は、2019年の歴史的な興行成績の90%近くにまで回復したことを示しており、映画業界の健全性が感じられます。しかし、映画料金の値上げが続いており、特にTOHOシネマズが2000円に引き上げたことは、多くの観客に影響を与えています。

総じて、2023年は映画業界において多くの重要な出来事や変化が見られ、今後の発展が期待される年となりました。

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