2025年ブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズのオーストラリア遠征

ブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズ 2025年オーストラリア遠征

ラグビー界で四年に一度のサイクルで行われる南半球への大遠征、ブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズの2025年の目的地はオーストラリアです。イングランド、アイルランド、スコットランド、そしてウェールズから選抜された精鋭が集うこの合同チームは、2025年6月28日から8月2日にかけて、オーストラリア国内を転戦します。

遠征の背景と概要

この歴史あるツアーは、常に世界のラグビーファンから注目を集めています。前回、2021年の遠征では、南アフリカとのシリーズに先立ち、日本で日本代表とのテストマッチを行いました。今回のオーストラリア遠征の具体的な試合日程は、2023年7月19日に発表されています。

前哨戦と新たな試み

オーストラリアへ向かう前に、ライオンズは遠征に向けた準備として一試合を行います。2025年6月20日には、アイルランドの地でアルゼンチン代表と対戦する「ライオンズ1888カップ」が開催されます。この「ライオンズ1888カップ」は2021年の遠征から導入された新たな取り組みであり、特に注目すべきは、このアルゼンチン戦がブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズがその活動拠点の一つであるアイルランドで行う初めての試合となる点です。

チームの指揮官とリーダー

今回の遠征でチームを率いるヘッドコーチには、アイルランド代表を成功に導いているアンディ・ファレル氏が2024年1月に任命されました。彼は、過去3回のライオンズ遠征で指揮を執ったウォーレン・ガットランド氏からバトンを受け継ぎます。ファレル氏は、2013年のオーストラリア遠征、2017年のニュージーランド遠征にアシスタントコーチとして参加しており、ライオンズの環境や南半球のラグビーを知り尽くした人物です。

そして、第47代となるツアーキャプテンには、イングランド代表のキャプテンも務めるマロ・イトジェ選手が指名されました。彼は、ラグビーがプロ化された1995年以降では、2001年のマーティン・ジョンソン氏に続いて二人目となるイングランド出身のキャプテンとなります。

スコッドの構成

2025年5月8日に発表された38名のスコッドには、各国のトップ選手が集結しました。内訳はアイルランドから15名（うちレンスターから12名）、イングランドから13名、スコットランドから8名、ウェールズから2名となっています。これらの選手たちは、遠征初戦となる2025年6月20日のアルゼンチン代表戦時点での年齢や、遠征前のキャップ数を基準に選出されています。

オーストラリアでの対戦相手

オーストラリア国内では、同国の州代表チームや選抜チーム、そしてホスト国であるオーストラリア代表（ワラビーズ）とのテストマッチ3試合が予定されています。主な対戦相手としては、ウェスタン・フォース、クイーンズランド・レッズ、ニューサウスウェールズ・ワラターズ、ACTブランビーズといったスーパーラグビー所属チームに加え、インビテーショナルAU & NZとの試合も組まれています。

また、当初予定されていたスーパーラグビーのレベルズ（メルボルン）との対戦は、レベルズが2024年シーズン終了後に活動を終えることになったため、変更されました。代替の対戦相手として決定したのが、「ファースト・ネーションズ・アンド・パシフィカXV」です。これは、オーストラリアの先住民と太平洋諸島にルーツを持つ選手たちによって構成されるユニークな連合チームであり、ライオンズにとっては初めて対戦する相手となります。

クライマックスとなるオーストラリア代表とのテストマッチは全3試合。このシリーズの結果が、遠征全体の成功を大きく左右します。

伝統と誇りをかけたブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズの2025年オーストラリア遠征は、世界のラグビーファンにとって見逃せない戦いとなるでしょう。