3分勝負15ラウンド

『3分勝負15ラウンド』：短命に終わった異色のバラエティ番組

1976年、フジテレビ系列で放送された『3分勝負15ラウンド』は、その名の通り、3分間のミニ番組を15ラウンドにわたって放送する、当時としては非常に斬新な構成のバラエティ番組でした。放送期間はわずか3ヶ月、1976年10月2日から12月25日まで。毎週土曜日の夜8時から8時54分までのゴールデンタイムに放送されていました。

番組開始にあたり、同局のドラマ枠『ゴールデンドラマシリーズ』は一時中断されました。これは、この番組が、既存の枠にとらわれない、実験的な試みであったことを示しています。各コーナーはバラエティ、ドラマ、クイズなど多岐にわたり、まるでプロボクシングの世界タイトルマッチのように、ラウンドごとに異なる趣向が展開されました。各ラウンド開始時には、「ラウンド○○！」のアナウンスとともに、ラウンドガールが登場する演出も取り入れられていました。

番組の構成は、3分という短い時間枠を最大限に活かした、テンポの良い構成になっていました。しかし、その内容には、現代の感覚からすると問題視されるようなものも含まれていました。数々のコーナーの中でも特に物議を醸したのが、女性タレントが出演する、性的描写を含むコーナーです。特に、すり鉢の中に水着姿の女性を入れ、上から商品を目指して這い上がらせる様子を下から撮影するコーナーは、当時のフジテレビ社長、浅野賢澄氏の逆鱗に触れ、番組の打ち切りを決定づける大きな要因となりました。この出来事は、放送倫理の観点から番組制作における重要な教訓を残しました。

番組のオープニングとエンディングも独特でした。15秒間の映像で、地球儀の上で正体不明の男性が砲丸投げの姿勢で何かを担いでおり、地球儀が回転しているような演出がされていました。オーケストラによるジングルがバックで流れ、印象的な映像となっています。オープニングでは番組タイトルロゴが中央やや下に表示され、エンディングでは左上に縮小表示され、「次回をお楽しみに」というテロップが追加されていました。最終回のみ「終」の文字が大きく表示されました。

司会は愛川欽也、藤村俊二、せんだみつおの3人が務め、番組を盛り上げていました。スタッフロールは番組全体としては表示されず、コーナーごとに表示される形がとられていました。

番組のコーナーは多様で、クイズ番組、コント、メロドラマ、ゲームコーナーなど、バラエティに富んでいました。『ラッシュアワークイズ』や、ターザンや月光仮面といった人気キャラクターを題材にしたコント『あの人は今』、ミニスカート姿の女性が出演するゲームコーナー『まる見え女蟻地獄』や『マルキン玉つぶし』『マルキン玉さがし』、そして『松本ちえこの悲しい物語』という唯一のメロドラマなど、様々なコーナーが展開されていました。他にも『カクテル講座』『おさわりテレビ』『イカサマ麻雀』『囲碁対局』『将棋名人戦』『大勝負つぼふり』『田辺一鶴の3分講談』など、多様なジャンルを網羅したコーナーが放送されました。

『3分勝負15ラウンド』は、短い放送期間にもかかわらず、その独特の番組構成と、いくつかの物議を醸したコーナーによって、視聴者に強い印象を残しました。3分という短い時間の中で、様々なジャンルのエンターテイメントを提供しようという意欲的な試みは、後のバラエティ番組にも少なからず影響を与えたと考えられます。しかし、放送倫理との兼ね合いを欠いた点や、視聴者への配慮の不足は、番組の打ち切りという結果につながったと言えるでしょう。この番組は、放送史における特異な存在として、番組制作のあり方について改めて考えさせる、貴重な事例となっています。

放送局はフジテレビ系列で、富山テレビ、石川テレビ、福井テレビなども放送していました。放送時間は毎週土曜 22:00 - 22:54 でした。参考文献として『毎日新聞縮刷版』が挙げられています。

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