3-メルカプトヘキサノール

3-メルカプトヘキサノール（3-Mercapto hexanol）は、化学式C6H14OSで表される有機硫黄化合物の一種であり、チオールに分類されます。一般的に3MHと略されます。

ワインにおける3MH

3MHは、特にワインの香りに重要な役割を果たす物質として知られています。その前駆体は、ソーヴィニヨン・ブランや甲州葡萄など、特定のブドウ品種に含まれています。これらのブドウに含まれる前駆体は、ワインの発酵過程において酵素によって3MHへと変換され、パッションフルーツやグレープフルーツに似た、特徴的な香りをワインにもたらします。

ボルドー大学の富永敬俊の研究により、ソーヴィニヨン・ブランの果汁から3MHの前駆体となるシステイン抱合体およびグルタチオン抱合体が発見されました。これらの前駆体は、ブドウの生育過程で生成され、発酵中に酵母の酵素によって3MHに変換されると考えられています。また、メルシャンの研究によると、ブドウに含まれる前駆体の量は、一日の時間帯によって変動し、早朝から深夜にかけて増加し、日中は減少する傾向があることが確認されています。

ソーヴィニヨン・ブランの品種香の基となる物質としては、3MHの他に4-メルカプト-4-メチル-2-ペンタノンも存在します。こちらはカシスの芽の香りと表現され、ワインに複雑な香りを与えます。

栽培とワインの香りへの影響

3MHは銅イオンと結合しやすい性質を持っています。そのため、ブドウ栽培において硫酸銅を含むボルドー液を過剰に使用すると、3MHが銅イオンと結合して減少し、ワイン本来の香りが損なわれる可能性があります。適切な農薬の使用が、ワインの品質を保つ上で重要となります。

消防法上の区分

日本の消防法では、3-メルカプトヘキサノールは危険物第4類第3石油類に区分されています。これは、引火性があるため、取り扱いには注意が必要であることを意味します。

まとめ

3-メルカプトヘキサノールは、ワインの香りを特徴づける重要な成分であり、その生成にはブドウの品種、栽培方法、発酵プロセスなど、様々な要因が影響します。ワインの香りを深く理解するためには、3MHのような微量成分の役割を知ることが不可欠です。

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