58式自動小銃

58式自動小銃

58式自動小銃（朝鮮語: 58식 자동보총）は、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）でライセンス生産されたAK自動小銃です。1950年代後半にソビエト連邦から技術供与を受け、北朝鮮国内で製造されました。

開発

1940年代後半からソビエト連邦は、北朝鮮に対し様々な先進技術を提供していました。その始まりは、PPSh-41短機関銃のライセンス生産である49式短機関銃でした。朝鮮戦争後の1958年、金日成の指示によりAK自動小銃の生産が開始され、58式自動小銃として朝鮮人民軍陸軍に採用されました。

当初はソビエト連邦から部品一式を輸入し、北朝鮮国内の国営工廠である第61工廠と第65工廠でノックダウン生産を行っていました。しかし、ソ連からの技術提供により、全ての部品を国内で製造することに成功し、完全国産化へと移行しました。58式自動小銃は、1958年から1968年に68式自動小銃に更新されるまでに、約80万挺がこれらの工廠で生産されました。

1960年代には、ベトナムやキューバなどの共産圏の国に輸出され、近年では横流しなどを経て、中東、南米、アフリカなどを中心に、正規・非正規問わず様々な機関や組織で使用されています。

構成

外見上、58式自動小銃とオリジナルのAK自動小銃との差異はわずかです。主な違いとして、レシーバーがAKよりも軽量である点が挙げられます。銃身や機関部はAKと同じ切削加工で製造されていますが、AKよりも1mm長く、ライフリングは4条右回りに変更されています。

機関部には、セレクター表示がハングル文字で表記されているほか、円の中に五芒星が描かれた刻印と、ハングル文字と数字を組み合わせた製造番号が刻印されています。また、AKでは合板製だった銃床やグリップは、58式自動小銃では単材製になっています。これらの違いにより、全長はAKよりも22mm長くなっています。

マガジンは、AKと同じプレス加工によって製造された金属製マガジンですが、左側面に58式自動小銃と同じ円の中に五芒星が描かれた刻印が追加されています。

運用

採用された58式自動小銃は、63式小銃と共に、モシン・ナガンや三八式歩兵銃などの各種旧式小銃を徐々に更新していきました。しかし、機関部などの金属部品を削り出しで製造したため、大量生産には不向きでした。その後、AKMを国産化した68式自動小銃が採用され、58式は第一線を退きました。

現在、人民軍の一般部隊では使用されていませんが、教導師団や労農赤衛隊、赤い青年近衛隊などの民兵部隊、人民保安部指揮下の警察では相当数が使用されていると言われています。

派生型

58式自動小銃 1型
AKSと同様のアンダーフォールディング銃床を取り付けた仕様です。

参考文献

床井雅美『最新軍用ライフル図鑑』徳間文庫、1998年。
ステイン・ミッツァー、ヨースト・オリマンス 著、村西野安、平田光夫 訳『朝鮮民主主義人民共和国の陸海空軍』大日本絵画、2021年。ISBN 9784499233279。
李ジョンヨン 著、宮田敦司 訳『北朝鮮軍のA to Z　亡命将校が明かす朝鮮人民軍のすべて』光人社、2009年。ISBN 9784769814436。

関連項目

AK
56式自動歩槍

外部リンク

* 槍炮世界-朝鮮AK

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