61-K 37mm対空砲

61-K 37mm対空砲：ソ連が生んだ傑作高射砲

61-K 37mm対空砲（ロシア語：37-мм автоматическая зенитная пушка образца 1939 года (61-K)）は、1930年代後半にソビエト連邦で開発され、第二次世界大戦において労農赤軍の主力高射砲として活躍した傑作兵器です。

開発の背景

ソ連における本格的な対空機関砲の開発は、1935年にスウェーデンから輸入したボフォースm/32 25mm機関砲がきっかけでした。この25mm機関砲の試験結果が優秀だったため、ソ連はより大型の45mm対空砲の開発を試みましたが、大きさや重量の問題から運用が難しいと判断されました。

そこで1938年1月、72-K 25mm対空砲などの開発実績を持つロギノフに、新たに37mm対空砲の開発が命じられました。ロギノフはこれに応え、試作を重ね、同年10月には最初の試験が行われ、その後生産が開始されました。

1940年には、当時世界的に評価の高かったスウェーデンのボフォース 60口径40mm機関砲との比較実験も行われましたが、結果として両者に大差はないという結論に至りました。

第二次世界大戦での活躍

61-K 37mm対空砲は、第二次世界大戦においてソ連軍の主力高射砲として広く使用されました。統計によると、本砲は14,657機の枢軸国航空機を撃墜したとされ、航空機1機を撃墜するのに平均905発の砲弾を必要としたとされています。

また、対空用途だけでなく、軽装甲の対地目標に対しても一定の有効性を示し、さらには艦載砲としても運用されるなど、多用途に活躍しました。

生産と運用

当初の注文数は900門でしたが、ソ連は戦後ZSU-57-2を開発するまで、本砲を主力対空機関砲として生産・運用し続けました。ソ連国内での生産数だけでも20,000門前後に達すると推定されています。陸上用の61-Kに加え、艦載用として単砲身型の70-Kが3,113門、二連型のV-11が1,872門生産されました。

ZSU-57-2が開発された1950年代にソ連軍の現役兵器から退役しましたが、ソ連での生産は61-Kでは1945年、V-11では1957年をもって終了したものの、ポーランド、中国、北朝鮮などではその後も生産が続けられました。

自走砲化

T-70軽戦車をベースにZiS-3 76mm野砲を搭載したSU-76自走砲が一定の成功を収めたことを受け、T-70に本砲を搭載したZSU-37自走対空砲が1942年に試作され、1944年から数年間生産されました。

ZSU-37はソ連における初の本格的な自走式対空砲であり、その後の自走式対空砲開発の基礎となりました。

運用国

ソビエト連邦
ポーランド
中国
北朝鮮
* その他

61-K 37mm対空砲は、第二次世界大戦におけるソ連軍の防空を支えた重要な兵器であり、その設計思想は後の自走式対空砲の開発にも大きな影響を与えました。

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