7.92x33mm弾

7.92x33mmクルツ弾

7.92x33mmクルツ弾は、第二次世界大戦中にナチス・ドイツで開発された小銃用実包であり、7.9mmクルツ、7.9mmK、8x33 Polteなどの別名でも知られています。この弾薬は、新型の自動カービン銃、すなわちアサルトライフルのために設計されました。既存の小銃用弾薬である7.92x57mmモーゼル弾と、拳銃用弾薬である9x19mmパラベラム弾の中間的な位置づけとして開発された中間弾薬です。

軍における制式名

ドイツ国防軍では、銃弾に制式名を与える際に口径を省略することがありました。7.92x33mmクルツ弾は、M43拳銃用実包、M43拳銃弾などと呼ばれ、StG44の開発後には43年式短小弾とも呼ばれていました。

開発の背景

第一次世界大戦における歩兵戦の分析から、ドイツ陸軍は戦闘のほとんどが400m以下で行われていること、当時の主力小銃とその弾薬が過剰な性能を持つことを認識していました。また、自動火器の発達により機関銃や短機関銃が投入されましたが、重機関銃は個人で扱うには重すぎ、短機関銃は射程の面で小銃の代わりにはなりませんでした。そこで、フルオート射撃による面制圧が可能な歩兵用火器の必要性が高まりました。

既存の小銃弾薬と拳銃弾薬の中間的な弾薬があれば、これらの問題を解決できると考えたドイツ陸軍は、第一次世界大戦後に新たな弾薬の開発に着手しました。このような弾薬は、資源の節約と歩兵の携行弾薬数の増加にも貢献すると期待されました。しかし、ヴェルサイユ条約による軍備制限とインフレにより、計画は遅々として進みませんでした。1920年代に入ると、いくつかの試作弾薬と、従来の銃器を改造した試験用銃器が作られ、細々とテストが行われました。

1938年、ポルテ社は7.92x57mm弾の全長を短縮した形状の弾薬を開発しました。この弾薬は、従来の製造・検査機器や治具を流用できるという利点があり、ドイツ陸軍は暫定的に生産を開始するとともに、これを用いる新たな銃器を模索しました。Mkb.42の開発と並行して改良が重ねられ、1942年に7.92x33mmクルツ弾として正式化されました。

この弾薬は、ドイツ国防軍の制式小銃であるKar98kやMG34などの機関銃で使用されていた8mmモーゼル弾と同じ口径でした。一方、ドイツ空軍では、ヘルマン・ゲーリングの命令により、8mmモーゼル弾を使用するFG42という自動小銃を開発・採用しましたが、8mmモーゼル弾の反動が強く、効率的な運用は困難でした。

クルツ弾に求められたのは、短機関銃と小銃の中間を埋める、軽量小型な小銃でも使用できる銃弾でした。8mmモーゼル弾より薬莢を24mm短縮した33mmのクルツ弾は、反動が抑えられ、300m以内の戦闘で有効な銃弾となりました。これは、機関銃よりも軽量な銃器から発射された際に、9x19mmパラベラム弾よりも長い射程と初速、ストッピングパワーを備えることを目的としていました。

第二次世界大戦後期には、真鍮不足のため、クルツ弾にはスチール製薬莢が使用されました。スチールは真鍮よりも弾性に劣り、薬莢の抽出を困難にするため、クルツ弾の薬莢には通常の8mm弾よりも強いテーパーが付けられました。このため、クルツ弾用の弾倉は特徴的な湾曲形状をしています。スチール製薬莢は、腐食を防ぐためにラッカーでコーティングされていました。

クルツ弾を使用する火器

クルツ弾の開発以前は、一般的な歩兵にはボルトアクション式小銃と短機関銃の2種類の火器が支給されていました。ボルトアクション式小銃は、高い精度とストッピングパワーを備えていましたが、速射性に劣っていました。一方、短機関銃は速射性と携帯性に優れていましたが、拳銃弾を使用するため射程とストッピングパワーが不足していました。

クルツ弾は、従来の小銃弾ほどの射程や精度は期待できませんでしたが、300m以内の戦闘では大きな問題とはなりませんでした。比較的小型の銃弾を連射することで、歩兵戦闘において必要十分な射程とストッピングパワーを実現しました。クルツ弾は、後のアサルトライフルの開発における重要な一歩となりました。

クルツ弾を使用した銃器は多くありませんが、StG44、StG45(M)、国民突撃銃などがよく知られています。また、いくつかのドイツ製試作銃器で使用されたほか、突撃銃という新しい火器に興味を持った各国がクルツ弾を参考に、自国のアサルトライフルの開発に利用しました。大戦末期には、Gew43自動小銃の一部がクルツ弾とStG44用弾倉を使用できるように改造されたものも存在します。国民突撃隊向けに生産された急造小銃VK98の派生型にも、同様の改造が施されたものがありました。

第二次世界大戦後

第二次世界大戦後、1940年代後半から1950年代初期にかけて、クルツ弾はアルゼンチンやベルギーなどで試作小銃の試験に使用されました。FN FALの最初期の試作型もクルツ弾を使用していました。東ドイツ、チェコスロバキア、エジプトなどはStG44などを継続使用し、クルツ弾の製造を続けました。

スペインでは、ドイツから逃れてきたモーゼル社の技術陣によって開発が続けられ、曳光弾やボートテール弾など、いくつかの派生型が開発されました。しかし、計画は中止され、後にスペインで設計されたセトメ・ライフルは7.62x51mm NATO弾を使用しました。

ユーゴスラビアなど東欧諸国がアフリカの角や中東諸国の非正規軍組織に行った軍事援助には、接収したドイツ製兵器が含まれており、StG44はレバノンの民兵組織で使用されているとされています。ドイツの銃器メーカーHZAクルムバッハ社は、民間向けにStG44などのクローン銃を販売しており、クルツ弾の需要は依然として存在します。そのため、現在でもセルビアのPrvi Partizan社やアメリカのHornady社などによってクルツ弾の製造が続けられています。

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