ADA (イギリス海軍)

ADAおよびADAWSの概要

ADA（Action Data Automation）は、イギリス海軍が使用する戦術情報処理装置です。このシステムは1951年に開発が始まり、当初はエリオット・ブラザーズによってアナログコンピュータを利用して設計されました。最初に完成したのはCDS（Comprehensive Display System）で、1957年に空母「ヴィクトリアス」に搭載され、その後多くの艦艇にも導入されました。

ADAの開発

1950年代半ばに、電子走査アレイ・レーダーの開発が進むと、海軍はさらに多くの目標データを処理するシステムの必要性を感じました。その結果、デジタルコンピュータを利用したADAの開発が始まり、1964年には空母「イーグル」に搭載されました。このシステムは、フェランティ社製のポセイドン汎用コンピュータと追加のレーダー追尾用コンピュータを搭載し、高度な情報処理能力を持っていました。

ADAは、他の艦からの目標情報を受信し、空母の捜索レーダーで得たデータと統合して処理することができます。また、異なる目標を比較し、最も脅威となる目標を特定する機能も備えており、戦術データ・リンクとしてはリンク 11に対応しています。

ADAWSの機能

ADAを基にして開発されたADAWS（Action Data Automation Weapons System）は、艦対空ミサイルの射撃指揮や対潜兵器の攻撃指揮機能を統合したものです。システム区分はDABであり、特に脅威評価および武器管制の機能が重要です。これにより、同時に交戦可能な目標数が限られた当時のイギリス海軍において、効率的なミサイル指揮が可能となりました。

ADAWSの開発は長い時間を要し、1967年にはカウンティ級駆逐艦の1番艦「ファイフ」に搭載されて試験が行われましたが、初期のシステムにはコンピュータの不具合が見られました。その後、2番艦「グラモーガン」での改良を経て、より手動に近いADAWS-1 Mk.2が搭載され、オペレーターによる目標入力が可能となるなど使い勝手が向上しました。

ADAWSの進化

ADAWSシリーズは、その後も数回の改良が行われ、例えばADAWS-4は42型駆逐艦に搭載される際に対潜戦も扱えるように進化しました。ADAWSは、目標情報管理用のコンピュータと武器管制用のコンピュータの2基を中心に構成されており、さまざまなコンソールが用意されています。特に、海図台型コンソールやCRTディスプレイなどがあり、戦術データ・リンクも進化してその後のADAWS-7ではNATO標準のリンク 11にも対応しました。

また、ADAWSの改良型としてADIMP（ADAWS Improvement）が登場し、ここでもハードウェアやソフトウェアの更新が行われ、最新の戦闘環境に適応しています。

モデル一覧

ADAWSにはいくつかのバリエーションがあり、それぞれ異なる艦艇に搭載されました。具体的には、ADAWS-1から始まり、ADAWS-10、さらにADIMPに至るまで、多様なニーズに応えたシステムが開発されてきました。

このように、ADAおよびADAWSは、イギリス海軍の戦術情報処理と武器管制機能の統合によって、より効果的な防衛能力を実現しています。

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