AK-100 (両用砲)

AK-100 100mm単装速射砲

AK-100は、旧ソビエト連邦が設計・製造した艦載用の100mm口径単装速射砲システムです。それまでソ連海軍の主力艦砲の一つであった76mm連装砲AK-726の後継として開発され、1970年代中頃よりソビエト連邦海軍の艦艇への実戦配備が始まりました。特に、大型対潜艦やフリゲート、警備艦といった水上戦闘艦に多く採用されました。

この砲システムは、高い発射速度を持つ単装砲であり、対水上目標への砲撃や上陸支援、さらには対空目標への限定的な攻撃能力も有していました。射撃の制御は、主にMR-184レーフ（NATOコードネーム：カイト・スクリーチ）射撃管制システム（FCS）によって行われます。このFCSは、目標追尾や弾道計算を自動で行い、精度の高い射撃を可能にしました。ただし、非常時や特定の状況下では、砲側での操作員による手動での射撃指揮も可能な設計となっています。

連続した速射を行うことで砲身が過熱するのを防ぐため、AK-100は水冷式の冷却システムを採用しています。砲身の外部に冷却水を通すためのホースが確認できるのが特徴の一つです。また、システム全体、特に砲塔シールド部分には比較的厚い鋼鉄が用いられており、これにより乗員や内部機構を破片や小口径弾から保護する防御力が高められています。しかし、その反面、同口径クラスの他の艦砲システムと比較すると、AK-100はやや重量が大きいという特性を持ちます。この点が改良される形で、より軽量化された後継の100mm砲システムA-190が後に開発されることになります。

AK-100は、ソビエト連邦の崩壊後もロシア海軍の艦艇に引き継がれ、現在も多くの艦で運用が続けられています。また、ソ連から独立した国や、ソ連/ロシア製の艦艇を輸入した国々でも採用されました。主な搭載艦艇クラスは以下の通りです。

ソビエト連邦海軍 / ロシア海軍
キエフ級航空母艦（例：「アドミラル・ゴルシコフ」）
キーロフ級原子力ミサイル巡洋艦
ウダロイ級駆逐艦（1型）
クリヴァクII型フリゲート
ネウストラシムイ級フリゲート
ソビエト国境軍 / ロシア国境軍
クリヴァク3型国境警備艦
ウクライナ海軍
クリヴァク3型フリゲート（例：「ヘーチマン・サハイダーチヌイ」）
インド海軍
デリー級駆逐艦（近代化改装によりイタリア製のオート・メラーラ 76 mm スーパー・ラピッド砲に換装された艦もあります）

このように、AK-100は冷戦期から現代に至るまで、旧ソ連およびロシア海軍の主力艦載砲システムの一つとして、その速射能力と信頼性をもって多くの艦艇に搭載され、重要な役割を果たしてきました。

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