AKM-63

AKM-63：ハンガリーが生んだAKの異端児

AKM-63は、かつて共産主義政権下にあったハンガリーで生産されたアサルトライフルです。ソ連のAKMをベースに、独自の改良が施されました。

開発の背景

第二次世界大戦後、ハンガリーはソ連の影響下に入り、軍備もソ連式のものが導入されるようになりました。その一環として、AK-47の製造ライセンスが供与され、AK-55として国産化が始まりました。その後、ソ連軍でAKMが採用されると、ハンガリーもこれに倣い、プレス加工レシーバーの導入を検討。1963年にAKM-63として制式採用されました。

AKM-63の特徴

AKM-63は、AKMをベースとしながらも、いくつかの独自の特徴を持っています。

フォアグリップ
最大の特徴は、ガスシリンダーを覆う上部ハンドガードを廃止し、下部ハンドガードに垂直のフォアグリップを取り付けた点です。これは、フルオート射撃時のコントロール性を高めるための工夫でした。
銃口
AKMの特徴である竹槍型のマズルブレーキは装着されていません。
素材
初期のモデルでは、銃床、グリップ、フォアグリップに乳白色のプラスチックが使用されていましたが、寒冷地での耐久性に問題があり、後に木製部品に交換されました。

AKM-63の課題と改良

AKM-63は、ハンガリー軍で使用されましたが、いくつかの問題点が指摘されました。

鋼板製の下部ハンドガードが加熱し、火傷の危険性がありました。
フォアグリップは、製造コストが高く、伏射時に破損しやすいという問題がありました。
弾倉交換時に干渉しやすいという問題もありました。

これらの問題を解決するため、下部ハンドガードをAKMと同様の木製のものに再設計し、上部ハンドガードも追加。竹槍型のマズルブレーキも装着した改良モデルが、1976年にAMMとして制式採用されました。

派生型

AKM-63には、いくつかの派生型が存在します。

AK-55：AK-47のハンガリー生産モデル
AKS-55：AK-55の銃床を折りたたみ式にしたモデル
AKN-55：AK-55に暗視装置を取り付け可能にしたモデル
AKNS-55：AKN-55の銃床を折りたたみ式にしたモデル
AMD-65：AKM-63をベースに、銃床を右側折りたたみ式に変更し、銃身を短縮したモデル
AMP-69：AMD-65にライフルグレネード投射機能を追加したモデル

運用国

AKM-63は、ハンガリーの他、アフガニスタン、イラク、イラン、スロベニア、ソマリア、ベトナムなどで運用されました。

まとめ

AKM-63は、AKMをベースにしながらも、ハンガリー独自の改良が加えられたアサルトライフルです。特にフォアグリップは特徴的ですが、その設計には課題も多く、後に改良が加えられました。AKM-63は、AKファミリーの中でも異色の存在と言えるでしょう。

参考文献
床井, 雅美「カラシニコフバリエーション Part5」『Gun Professionals』、ホビージャパン、2022年1月、88-99頁。

関連項目
AK
AIM ([[アサルトライフル)]] / AIMS-74 - ルーマニア製のAKM / AK-74系アサルトライフル。これらも垂直フォアグリップを有する。
AK-63

外部リンク
Manowar's Hungarian Weapons - AK-55 / AKM-63 / NGM-81 / SA-85M（英語）
www.gunsworld.net - AKM63突击步枪 / 匈牙利半自动民用AK（簡体字中国語）
* KALASNYIKOV.hu - AKM-63のマニュアル / NGVの写真集（ハンガリー語）

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