ANOTHER SUMMER

杉山清貴&オメガトライブの4枚目のオリジナルアルバム『ANOTHER SUMMER』は、彼らの音楽キャリアにおいて重要なマイルストーンとなりました。ギターの吉田健二が脱退後、5人編成で初のリリースとなった本作は、サウンド面で新たな試みがなされています。

杉山清貴自身が「前よりブラスの音を削り、バンド本来の音を大事にした」と語るように、本作はシンプルでありながらも、洗練されたバンドサウンドが特徴です。それまでの楽曲に比べて、よりストレートで、軽快な印象を受けるでしょう。

アルバムには、大ヒットシングル「ふたりの夏物語」や「サイレンスがいっぱい」が収録されており、これらの楽曲の相乗効果もあって、オリコンチャートで初の1位を獲得しました。さらに、1985年の年間アルバムチャートでも13位にランクインするなど、セールス面でも大きな成功を収めています。

また、本作は杉山清貴&オメガトライブの作品の中で、夏（6月～8月）に発売された唯一のオリジナルアルバムとしても知られています。ジャケットや歌詞カードの表紙は、ギリシャのミコノス島で撮影され、その美しい風景がアルバムのイメージをより一層引き立てています。タイトルの下には、島に実在するホテル「レス・モーリン」の説明が記載されているなど、細部にまでこだわりが感じられます。

収録曲は、「ROUTE 134」、「DEAR BREEZE」、「FUTARI NO NATSU MONOGATARI -NEVER ENDING SUMMER-」、「TOI HITOMI (遠い瞳)」、「SCRAMBLE CROSS」、「MAYONAKA NO SCREEN BOARD (真夜中のスクリーンボード)」、「AI NO SHINKIRO (愛の蜃気楼)」、「YOU'RE LADY, I'M A MAN」、「THE END OF THE RIVER」の全9曲。

2023年には、結成40周年を記念して、『ANOTHER SUMMER REMIX』がリリースされました。林哲司が総監修を務め、全曲がリミックスされています（「FUTARI NO NATSU MONOGATARI -NEVER ENDING SUMMER-」は2018年のリミックス）。オリジナルの良さを残しつつ、現代的なサウンドにアップデートされた楽曲は、新たなファンにもアピールするでしょう。

『ANOTHER SUMMER』は、杉山清貴&オメガトライブの代表作としてだけでなく、1980年代の日本の音楽シーンを象徴するアルバムの一つとして、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。リミックスアルバムと合わせて聴くことで、彼らの音楽の新たな魅力を発見できるはずです。

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