APAR (レーダー)

APAR（アクティブ・フェーズドアレイ・レーダー）

APAR（Active Phased Array Radar）は、オランダのタレス・ネーデルラント社によって設計された先進的な多機能レーダーです。このレーダーは、アクティブ・フェーズドアレイ（AESA）技術を採用しており、NATO対空戦闘システム（NAAWS）の中心的な役割を果たしています。APARは、目標の発見、追尾、攻撃指示を一手に担う能力を持っています。

構造と性能

APARは、3424個の素子からなるアクティブ・フェーズドアレイ・アンテナを四方に配置したデザインとなっており、塔状の構造物に取り付けられています。各面は、上下左右にそれぞれ120度の探知範囲を有し、これにより360度の全周探知が可能です。この構造により、重複地域での探知も行えるため、組織的な戦闘が可能になります。

それぞれのアンテナには、信号処理ユニットとデータ処理ユニットが接続されており、4つのセクションに分割することができます。各セクションは、最大2発のミサイルを誘導する能力を持っており、全体としては最大32個のターゲットと同時に交戦することができます。また、APARは200の対空目標と150の対水上目標を同時に追跡する能力があるとされています。

ただし、APARは解像度を重視した設計になっており、動作周波数はXバンドを採用しています。これにより、探知距離は150kmと相対的に短いため、より遠距離の捜索に特化したSMART-Lレーダーと組み合わせて使用されることが一般的です。

歴史と採用事例

APARは、もともとTFC計画という合同軍艦建造プログラムに基づいて開発されましたが、スペインの脱退後、オランダとドイツのみでこの計画が継続されました。その結果、APARはザクセン級フリゲートやデ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲートに搭載されており、これらの艦船は主要な防空戦力として知られています。

さらに、APARはNAAWSは日本のFCS-3などの他の国々にも提案されましたが、最終的に採用には至らず、特にイージスシステムに劣るとされました。しかし、デンマーク海軍では、イーヴァル・ヒュイトフェルト級フリゲートに初めてAPARが搭載され、APARの海外展開の先駆けとなりました。

搭載艦

APARが搭載されている主要な軍艦は以下の通りです。

• - オランダ海軍: デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲート
• - デンマーク海軍: イーヴァル・ヒュイトフェルト級フリゲート
• - ドイツ海軍: ザクセン級フリゲート

参考文献

• - 多田智彦「世界の最新艦載レーダー (特集 最近の艦載レーダー)」『世界の艦船』第607号、海人社、2003年
• - 野木恵一「世界の艦載多機能レーダー (特集・多機能レーダーと艦艇デザイン)」『世界の艦船』第687号、海人社、2008年

APARは、現代の艦載レーダー技術において重要な位置を占めており、その多機能性と先進的な探知能力は、海上防衛における大きな資産となっています。

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