デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲート

デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲートは、オランダ海軍の主力艦艇の一つであり、防空能力と艦隊指揮能力を兼ね備えた次世代フリゲートです。この艦級は、NATOによるNFR-90計画に基づき設計され、APAR多機能レーダーとNAAWS防空システムを搭載しています。ネームシップの名は、オランダの「七州連合」に由来しています。

来歴

1980年代の終わり、NATOに加盟する8カ国の海軍は、フリゲートの共同開発を進めるNFR-90計画に着手しました。このプロジェクトには、オランダも参加しており、既存のトロンプ級やコルテノール級の更新を図っていました。しかし、各国の期待にズレが生じ、最終的に1989年にはイギリス、フランス、イタリアが計画から脱退しました。残った国々は協議を続けましたが、1990年初頭に計画は中止されました。

その後、ドイツ、オランダ、スペインの3カ国はTFC（Trilateral Frigate Cooperation）計画を発足させ、共同開発を続けました。1993年には、ドイツのブローム・ウント・フォス、オランダのロイヤル・シェルデ、スペインのバサンとの覚書が交わされましたが、スペインは後に計画から離脱し、独自にイージスシステムを導入しました。最終的に、オランダとドイツの2国で本級が建造され、ドイツでの艦はザクセン級フリゲートとなりました。

設計

TFC計画を受けて、本級の設計はNFR-90計画の反省から船体や機関の共通化を目指しましたが、主に装備の共通化に注力しました。このため、船体のサイズや外見はドイツのザクセン級と類似していますが、詳細な設計はオランダ独自のものとなっています。基本設計は、先行するカレル・ドールマン級に防空機能を追加したものです。船体内部は7つのゾーンに区分され、ダメージコントロールシステムが施されています。

機関

このフリゲートの主機関は、当初はノースロップ・グラマン/ロールス・ロイスのWR-21ガスタービンエンジンを予定していましたが、開発の遅れにより、カレル・ドールマン級と同様のロールス・ロイススペイSM1Cに変更されました。主機には減揺機能を備えた2枚舵が使用されています。また、電源にはGEC-アルストム社製のディーゼルエンジンを活用した発電機が4基搭載されています。

装備

艦艇の戦術情報処理装置としては、オランダのシグナール社製のSEWACO-FDが導入されており、36基のワークステーションを持ち、各種データリンクにも対応しています。APAR多機能レーダーは、艦の防空において中心的な役割を果たしており、高度な目標捜索やミサイル誘導機能を持っています。さらに、センサーとしてLバンドのSMART-L早期警戒レーダーや、光学機器も充実しており、目標捕捉の精度を高めています。

武器システム

本艦は、NAAWSのコンセプトに基づく武器システムを採用しており、主にアメリカ製のミサイルが用いられています。SM-2ブロックIIIAおよびESSMを搭載し、それぞれのミサイルはMk.41 VLSに格納されています。また、弾道ミサイル防衛能力も計画され、SMART-L レーダーの改修により最大探知距離が2020年代に拡大される見込みです。艦砲にはオート・メラーラ社製の127mm速射砲を装備し、近接防空用のガトリング砲も搭載されています。

艦載機

このフリゲートは、艦載機としてリンクス哨戒ヘリコプターを1機運用しており、2010年には最新のNFH90の運用にも対応可能にするための改装が行われました。艦尾甲板にはヘリコプター発着用の設備があり、様々な任務に対応できる設計となっています。

このように、デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲートは、防空能力や艦隊指揮能力を兼ね備える現代の海上戦闘艦として、爭いの一翼を担っています。

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