SMART-L

SMART-L レーダー

SMART-Lは、オランダのシグナール社（現在はタレス・ネーデルラント社）によって開発された高性能な3次元レーダーシステムです。このレーダーは、艦艇の長距離探知や追尾機能を強化する目的で設計されており、特に海上での航空機や水上目標の識別に優れた能力を持っています。

来歴

SMART-Lの開発は1991年7月24日、オランダ海軍からの発注を受けてスタートしました。1995年9月には、さまざまなテストを経て洋上試験を実施しました。基本設計は、同社が以前に開発したSMARTレーダーを基にしており、特に周波数がLバンドに変更されています。この改良により、LW-08 2次元対空捜索レーダーとSMARTを結合し、両者の機能を統合しています。

機能と性能

SMART-Lは、その高い探知能力を確保するために、24本のリニアアレイアンテナを使用しています。この設計により、同時に16本のビームを形成し、最大70度の仰角へ指向可能です。また、回転速度は12回転/分で、艦艇の動揺に対応するために最大30度のロール角と15度のピッチ角に対して電子的にスタビライズされています。

探知距離については、哨戒機大の目標に対して400キロメートル、戦闘機大の目標に対して220キロメートル、さらにはレーダー断面積がわずか0.001平方メートルのステルス機に対しても65キロメートルの距離を発見できる能力を有します。ここで、最大同時追尾目標数は航空機1,000機、水上目標40個、妨害源32個まで多様に対応が可能とされています。

活用事例

SMART-Lは、オランダ海軍のNAAWS（新しい防空戦闘システム）を搭載する艦艇に配置されている他、S1850Mバージョンも存在し、こちらはイギリス海軍のPAAMS（新しい対空ミサイルシステム）搭載艦に使用されています。これにより、両者はそれぞれの艦艇における多機能レーダーを補完する長距離捜索センサーとして機能しています。

採用国および搭載艦

SMART-Lは以下の海軍に採用されています：

• - オランダ海軍: デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン級フリゲート
• - ドイツ海軍: ザクセン級フリゲート
• - デンマーク海軍: アイヴァー・ヒュイトフェルト級フリゲート
• - 大韓民国海軍: 独島級揚陸艦「独島」

S1850Mは、以下の艦艇に搭載されています：

• - イギリス海軍: 45型駆逐艦、クイーン・エリザベス級航空母艦
• - イタリア海軍: アンドレア・ドーリア級駆逐艦
• - フランス海軍: フォルバン級駆逐艦

このように、SMART-Lは世界各国の海軍において重要な役割を果たし、特に防空戦術において欠かせないレーダーシステムとして位置づけられています。

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