ASIAN WINDS! - アジアの風 -

宝塚歌劇 花組レビュー『ASIAN WINDS!』：アジアの風を巡るロマンチックな旅

2005年、宝塚歌劇団花組によって華やかに上演されたレビュー作品『ASIAN WINDS! - アジアの風 -』。この作品は、2000年に上演された『Asian Sunrise』に続く、アジアをテーマにしたロマンチックレビューの第16弾として注目を集めました。前作を上回るスケールで、モンゴル、沖縄、中国、韓国、フィリピンなど、多様なアジアの国々を舞台にした魅力的な場面が展開されます。全24場からなる壮大なレビューは、岡田敬二による作・演出、吉崎憲治と甲斐正人による作曲・編曲、そして羽山紀代美と謝珠栄による洗練された振付によって彩られています。作詞・訳詞は平野恵子が担当し、宝塚歌劇団による制作・著作で実現しました。併演作品は『落陽のパレルモ』でした。

多彩なアジアを巡る旅：各場面の見どころ

レビューは、雄大なモンゴルの草原から始まり、沖縄の青い海、中国の歴史、そして韓国とフィリピンの文化まで、アジア各地の情景と文化を鮮やかに描き出します。

第1章：プロローグ・アジアの夜明け（モンゴル）：馬頭琴の音色が響き渡るモンゴルの草原を舞台に、英雄たちの勇壮な歌と踊りが繰り広げられます。悠久の歴史と自然の息吹を感じさせる、力強い幕開けです。
第2章：群青の海（沖縄）：三線の音色が心地よく響き渡る沖縄の島々。島の男女の情熱的な歌と踊りが、南国の魅力を存分に見せてくれます。
第3章：上善如水（中国）：中国の歴史と哲学を表現した場面。老子の教えを想起させる演出と、皇帝と佳貴妃の優美な姿が印象的です。
第4章：服部良一メドレー：日本を代表する作曲家、服部良一のヒット曲を数多く取り上げた場面。時代を超えて愛される名曲の数々が、華やかにアレンジされています。「チャイナタンゴ」「恋はバラの花か」「蘇州夜曲」など、多くの楽曲が織りなす華麗なダンスシーンは必見です。
第5章：コリアン幻想（明洞）～（田園）～（宮殿）：韓国の現代と歴史が交錯する場面。ソウル明洞の活気、田園風景の穏やかさ、そして李王朝の宮殿の威厳が、見事に融合されています。
第6章：サンパギータ（フィリピン）：白いサンパギータの花が咲き誇る教会を舞台に、フィリピン独特の結婚式と祝福のシーンが描かれます。
第7章：アジアンロケット：32人のダンサーによるダイナミックなロケットダンスは、レビューのハイライトの一つ。
第8章：アジアンウィンズのボレロ：雄大なボレロアレンジの楽曲に乗せて、男たちの情熱的なダンスが繰り広げられます。
第9章：フィナーレ：華やかな大階段パレードで幕を閉じます。

主要出演者とスタッフ

この作品には、春野寿美礼、ふづき美世、彩吹真央、真飛聖、蘭寿とむなど、花組を代表するスターたちが多数出演しました。特に、この作品が花組トップ娘役のふづき美世の退団公演であり、星組から組替えした真飛聖の花組初舞台となったことでも知られています。

スタッフ陣も豪華で、演出には岡田敬二、作曲・編曲には吉崎憲治、甲斐正人、高橋城といった実力派が名を連ねています。

作品に込めた想い

『ASIAN WINDS!』は、単なるレビューとしてだけでなく、アジアの様々な文化や歴史、そして人々の生き様を表現した、奥深い作品と言えるでしょう。各場面で表現される、それぞれの国の情景や文化、そして人々の温かさや情熱は、観客の心に深く刻まれることでしょう。 この作品は、宝塚歌劇団の、アジアへの深い理解と、それを表現しようとする熱意が凝縮された、記念碑的な作品の一つと言えるでしょう。

参考文献

岡田敬二『岡田敬二 ロマンチック・レビュー』阪急コミュニケーションズ、2009年11月7日
監修・著作権者：小林公一『宝塚歌劇100年史 虹の橋 渡りつづけて（舞台編）』阪急コミュニケーションズ、2014年4月1日 ISBN 978-4-484-14600-3
監修・著作権者：小林公一『宝塚歌劇100年史 虹の橋 渡りつづけて（人物編）』阪急コミュニケーションズ、2014年4月1日 ISBN 978-4-484-14601-0

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