ASL・ガライヤ

ガライヤ（Garaiya）

概要

ガライヤは、オートバックス・スポーツカー研究所（ASL）が手掛けた特別な2ドアスポーツカーです。この車は2002年の東京オートサロンで、他のモデルとともに一般公開されました。名前は日本の伝説的な盗賊「我来也」に由来し、彼の優しさを象徴しています。また、個性豊かなハチドリからインスパイアを受けたデザインがエンブレムに生かされています。

その設計は軽量でコンパクトなボディに加え、オーダーメイドの対応が可能な点が特徴で、製造のほとんどはイギリスで行われました。ボディはオールアルミニウム製で、シザーズドアを採用し、全体の車重は800kgと非常に軽量化されています。主要な部品には日産自動車のものを活用し、テールランプやドアミラーにはアルファロメオの部品が流用されています。

エンジンには日産のSR20VEがミッドシップレイアウトで搭載され、後輪駆動方式を採用しています。6速のマニュアルトランスミッションと組み合わせることで、ドライビングの楽しさを最大限に引き出す設計です。この特別なスポーツカーは、東京の北青山に専用ショールームを設けて販売され、オーダーメイドの特性を活かしました。価格は約650万円で、限定的な数量の生産に対して一定数のバックオーダーがありました。

開発と販売の難航

購入を希望する者には厳しい選考プロセスが用意され、実技や面接を通過した者のみが購入権を得られるというユニークな仕組みが設けられていました。しかし、開発上の問題が多発し、最終的には2005年に発売中止が決定される運びとなりました。一般ユーザー向けの販売は行われず、納車された車両はオートバックス関連の展示やデモカーとして活用されました。

実際に通りを走っている姿を見た者は少なく、数台が特別な目的のために使用されました。2007年には、1台が電気自動車に改造され、大阪産業大学に寄贈されています。

電気自動車（EV）モデル

2024年、オートバックス創業50周年を記念して、東京オートサロンでガライヤのEV仕様が発表されました。この新しいモデルは、オートバックス本社が保管していたプロトタイプをベースに、トムスとの共同開発で電動ユニットが搭載されています。新しい外装のデザインが特徴で、出力は125kW、航続距離は約120km、最高速度は約160km/hです。バッテリーはトランクで取り外し可能な交換式仕様になっています。

レース活動

ガライヤは、全日本GT選手権のGT300クラスにも参戦しました。参戦初年度はドライバーに高木真一と新田守男を迎え、シーズンの早い段階でタイトル争いに加わるなどの活躍を見せました。その後、エンジンをSR20DETからVQ35DEに換装し、さらなるパフォーマンス向上を図りました。しかし、チーム自体は2005年シーズンで解散となり、その後数年の間は出展が見送られました。

2007年に再参戦を果たしたものの、またもや思うような成績が残せず、特に2008年シーズンではシャシーを新造し再び参戦しました。この年は第2戦と第5戦で勝利しましたが、総合ポイントでは2位に留まりました。その後も継続的にGT300クラスでの参戦が続けられましたが、2012年にはSUPER GTのレギュレーション変更に伴い、活動を休止することとなりました。

まとめ

ガライヤは、特別なデザインと性能を持った日本製のスポーツカーとして、その優れた特徴で一世を風靡しました。発売は実現しなかったものの、数少ない実車が特別なプロジェクトとして今も存在し、オートバックスのブランドを象徴する存在として記憶されています。

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