ATI Rage

RAGE (レイジ)とは

RAGEは、ATI Technologies（現在AMDのグラフィックスアクセラレータ部門）が開発したビデオチップ、またはそれを搭載したビデオカード、およびそれらの製品シリーズの名称です。

歴史

ATIは、2Dチップとして高い評価を得ていたMachシリーズを基盤に、3Dアクセラレーション機能を加えたビデオチップを開発し、3D RAGEとして発表しました。当時、マイクロソフトのWindows 95が普及し始めた時期であり、RAGEシリーズは多くのメーカーのPCに採用されました。

その後、ATIは性能を向上させ、DirectX5に対応した3D RAGE II、さらにAGPに対応した3D RAGE Proを開発し、PC/AT互換機|PC_AT互換機だけでなく、Apple ComputerのPower Macintoshにも搭載されました。ATIは、グラフィックスチップの性能向上だけでなく、ドライバの安定性やTV出力対応などの機能面にも注力していました。そのため、RAGEシリーズは、3dfx（後にNVIDIAに買収）のVoodooシリーズやNVIDIAのRIVA 128と比較して、性能面ではやや劣る部分もありました。しかし、RAGEシリーズには、DVD再生支援機能として、他社製品が動き補償（MC）までをサポートする中、逆離散コサイン変換までサポートするモデルも存在しました。

1998年には、128ビットのグラフィックスエンジンを持つRAGE 128が発表されました。しかし、RAGE 128は他社製品との競争で苦戦し、RAGE 128チップを2つ搭載したRAGE FURY MAXXを投入するなどしましたが、性能面での不利を覆すことはできませんでした。

2000年、ATIはRAGEの後継ブランドとしてRADEONを発表し、RAGEシリーズの開発は終了しました。しかし、その後もRAGEチップの安定性が評価され、サーバーのオンボードグラフィックスやサン・マイクロシステムズのUNIXワークステーションの2D専用フレームバッファとして採用され、製品供給はしばらくの間継続されました。

各モデルの詳細

以下に、RAGEシリーズの各モデルの詳細をまとめます。

3D RAGE

ビデオメモリ: DRAM 1/2MB

3D RAGE II

モデル: 3D RAGE II, 3D RAGE II+, 3D RAGE II+DVD, 3D RAGE IIC
製造プロセス: 0.35μm
インターフェイス: AGP(IIC)またはPCI
ビデオメモリ: EDO-DRAM/SGRAM (1/2/4/8MB)
DirectX5をサポート

3D RAGE Pro

モデル: 3D RAGE Pro, 3D RAGE Pro Turbo
製造プロセス: 0.35μm
インターフェイス: AGPx2またはPCI
ビデオメモリ: EDO-DRAM/SDRAM/SGRAM (4/8/16MB)
DirectX6をサポート

RAGE LT

3D RAGE IIまたは3D RAGE Proをベースにしたオンボード実装用チップです。

モデル: RAGE LT (3D RAGE II ベース), RAGE LT Pro (3D RAGE Pro ベース)
製造プロセス: 0.35μm
インターフェイス: AGPx2またはPCI
ビデオメモリ: EDO-DRAM/SGRAM (1/2/4/8MB)

RAGE XL

3D RAGE Proをベースにした低価格版のチップです。

モデル: RAGE XL, RAGE XC
製造プロセス: 0.25μm
パッケージ: 208ピンPQFP(XL), 256ピンBGA(XC)
メモリインターフェイス: 128ビットまたは32ビット
インターフェイス: AGPx2またはPCI
ビデオメモリ: SDRAM/SGRAM (4/8MB)

RAGE 128

モデル: RAGE 128 GL, RAGE 128 VR, RAGE 128 Pro
製造プロセス: 0.25μm
トランジスタ数: 800万
パッケージ: 312ピンBGA(GL), 256ピンBGA(VR)
RAMDAC: 230MHzまたは250MHz
メモリインターフェイス: [128ビット], 64ビット(VR)
インターフェイス: AGPx2またはPCI
ビデオメモリ: SDRAM/DDR-SGRAM(VRのみ) (4/8/16/32MB)
RAGE 128 Proは2つのチップを搭載した場合64MB(各チップ32MB)のメモリを搭載可能
DirectX6をサポート
高クロック版であるRAGE 128 UltraがiMacに搭載された
MAXXの2チップ並列動作はフルスクリーンモードのみに対応
元々はTseng Labsにおいて開発中のET6300であったが、同社を買収したATIよりRAGE128として発売された

RAGE Mobility

3D RAGE IIまたはRAGE 128をベースに消費電力を抑えたノートパソコン専用のチップです。

モデル: RAGE Mobility-P (3D RAGE II ベース), RAGE Mobility-M (3D RAGE II ベース), RAGE Mobility-EC (3D RAGE II ベース), RAGE Mobility-M1 (3D RAGE II ベース)
製造プロセス: 0.35μm
インターフェイス: AGPまたはPCI
ビデオメモリ: SDRAM (4/8MB)
DirectX5をサポート
モデル: RAGE Mobility 128 (RAGE 128ベース)
製造プロセス: 0.25μm
パッケージ: 345ピンBGA
インターフェイス: AGPx2またはPCI
ビデオメモリ: SDRAM (16MB)
* DirectX6をサポート

まとめ

RAGEシリーズは、ATI Technologiesが開発したグラフィックスチップの歴史において、重要な役割を果たしました。初期の3Dアクセラレーション機能の導入から、DVD再生支援、そして128ビットグラフィックスエンジンの搭載まで、その進化は目覚ましいものでした。RAGEシリーズは、その後のRADEONシリーズへと繋がる重要な礎となりました。

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