An-178 (航空機)

An-178 短距離中型輸送機

An-178は、ウクライナのANTKアントーノウがAn-148、An-158をベースに開発を進めている短距離中型輸送機です。既存の航空機技術を応用しつつ、輸送能力の向上を目指した機体として注目されています。

開発の経緯

アントノフは2010年2月5日にAn-178の開発を発表しました。2014年には胴体部が完成し、同年11月には最初のプロトタイプ機の地上試験が開始されました。2015年4月16日にはロールアウトが行われ、同年5月7日には初飛行がおよそ1時間にわたってアントノフ飛行場で行われました。

設計と性能

An-178は、An-148と共通のアビオニクスとD-436-148FMエンジンを搭載しています。主翼外部パネル、コックピット、前輪脚、胴体前部はAn-158と共通化されています。

機体構成は、高翼配置と後退角のついた主翼、T字尾翼という、典型的な輸送機のスタイルを採用しています。機体はセミモノコック構造で円形断面を有し、アルミニウム合金と複合材料が使用されています。降着装置は、2つの主脚と1つの前輪で構成され、各脚に2つのタイヤが装着されています。

飛行制御には、二重系統のフライ・バイ・ワイヤシステム（FCS-AおよびFCS-B）を採用し、緊急時には機械式のケーブルバックアップシステムが作動します。操舵面は、翼端付近のエルロン、4つの制御スポイラー、6つの昇降/スピードブレーキスポイラー、ラダー、エレベーターで構成されています。

エンジンは、An-148やAn-158が搭載するD-436-148を改良したD-436-148FMを搭載しています。このエンジンは、推力が15%向上しており、パイロンを介して主翼下に装備されます。APU（補助動力装置）も搭載しています。

貨物室はAn-158よりも拡大され、長さ16.65m（ランプ含まず12.85m）、幅2.745m、高さ2.75m、床面積40平方メートルとなっています。これにより、既存の様々なコンテナやパレットを輸送可能です。最大18トンの貨物を積載でき、航続距離は、18トン積載時で1,000km、10トン積載時で4,000km、5トン積載時で5,500kmです。

型式

An-178: 基本型
An-178-111: 西側製のエンジンやアビオニクスを導入した型式。エンジンは、ゼネラル・エレクトリック社のCF34-10またはプラット・アンド・ホイットニー社のPW1500のいずれかに変更される予定です。

運用

アントノフは、An-12、An-26、An-32の後継機としてAn-178を売り込んでおり、2032年までに200機の販売を予測しています。競合機種としては、C-27J スパルタン（イタリア）、EADS CASA C-295（スペイン）、C-130J（アメリカ）、エンブラエル C-390（ブラジル）、Il-214（ロシア）などが挙げられます。

運用実績

軍用
サウジアラビア空軍：30機の取得に向けて覚書に調印（2015年12月）
民間
マクシムスエア：意向書に署名（2015年4月）
シルクウェイ航空：10機の確定注文（2015年5月）
北京 A - スターサイエンス&テクノロジーカンパニー：2機の確定注文（2015年5月）。この企業は、An-178を中国で製造する計画で、共同生産の契約も締結しています。

仕様

乗員: 3名
定員: 90名、または空挺隊員70名、または担架48床と医師20名+4名
全長: 32.95m
全高: 10.14m
翼幅: 28.84m
有効搭載量: 18.0t
エンジン: D-436-148FM ターボファン × 2
巡航速度: 800km/h
実用上昇限度: 13,000m

関連項目

アントノフ An-148
* イーウチェンコ・プロフレース D-436

もう一度検索