C-27J スパルタン

C-27J スパルタンについて

C-27J スパルタンは、イタリアのアレーニア・アエロナウティカが開発した中型軍用輸送機で、ロッキード・マーティンの技術協力を受けているのが特徴です。この機体は、アエリタリア G.222を基にした新世代の輸送機であり、信頼性と多用途性から多くの国で採用されています。

開発の経緯

1997年、アレーニアは中型輸送機に対する需要が増加することを予測し、アメリカのロッキード・マーティンと共同で新型機の開発に着手しました。これにより、G.222の進化型であるC-27Jが誕生したのです。初めは「G.222J」として知られていましたが、最終的にはアメリカ空軍のG.222が「C-27A スパルタン」と呼ばれていたため、C-27J スパルタンという名称が与えられました。

試作機は旧型のG.222を基に改造され、1999年9月に初飛行を成功させました。続いて、イタリア空軍は2006年からこの機体の引き渡しを受け始めました。

設計と技術的特長

C-27Jは、元のG.222の基本設計を維持しつつ、ロールス・ロイスのAE 2100エンジンとダウティR391プロペラを使用することで、性能が大幅に向上しています。具体的には、巡航速度や航続距離はそれぞれ約15%と35%向上し、ペイロードにおいても2,500kgの増加が実現しました。また、機動性も高く、曲技飛行が可能なほどの能力を持っています。

コックピットには最新のアビオニクスが導入され、グラスコックピットを採用。これにより、2名のパイロットだけでの運用が実現しています。貨物室の構造も強化されており、C-130Jのパレットがそのまま搭載できるようになっています。さらに、オプション機能として、ヘッドアップディスプレイや空中給油プローブ、防御装置が装備可能です。

多様な派生型

C-27Jは、さまざまな派生型が提案されています。中でも、特殊作戦型のMC-27Jは、電子光学赤外線センサーを装備し、情報収集や監視任務に特化しています。このMC-27Jは、イタリア空軍によって「プラエトリアン」として知られる愛称が与えられ、特殊部隊への兵員輸送やガンシップとして運用される計画があります。

さらに、2020年には新技術を搭載したC-27Jネクストジェネレーションが発表され、その外観にはウィングレットが追加されています。

米軍及び他国での運用

C-27Jはアメリカ空軍と陸軍においても導入が計画され、2007年には最初の調達分が決定されましたが、その後の予算削減により調達数が減少する事態もありました。最終的に、21機が調達され、アメリカ特殊作戦軍にも配属される予定です。

オーストラリア、ブルガリア、ギリシャ、メキシコ、ペルーなど、多くの国でもC-27Jスパルタンが導入され、各国の戦略に合わせた運用が期待されています。

まとめ

C-27J スパルタンは、その高い性能と多用途性により、現代の軍事輸送機としての重要な役割を果たす機体です。これからの国際情勢に対応した多様な運用法が期待されており、未来の戦場においてもその存在価値を高めていくことが予想されます。

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