An-26 (航空機)

An-26（アントノフ26）

An-26（ウクライナ語：Ан-26）は、ウクライナのアントーノフ設計局が開発した、小型の双発多目的輸送機です。この機体は、北大西洋条約機構（NATO）では「カール」(Curl)として知られています。

概要

An-26の開発は1964年に始まり、1968年に初飛行を果たしました。この機体は、貨物機An-24Tの改良版として設計され、24トンの貨物搭載能力を誇ります。特に注目すべきは、機体後部に設置されたランプで、これにより大型貨物の積載や、空中からの物資投下が可能になりました。もともと中型輸送機An-40のために開発されたこのランプは、An-26に応用されています。

開発の経緯

An-26の設計は主任設計技師V・A・ガルヴァルトが指揮し、工場への技術書類の整備が1968年中に完了しました。試作機の製造は同年内に始まり、1969年5月21日には初飛行を成功させました。その後、様々な調整や改良を経て1970年には量産が始まり、正式に軍に採用されたのは1975年です。

製造と運用

1968年から1986年の間に、主にウクライナとロシアの工場で1,398機が製造されました。輸出も行われ、多くの国にAn-26が供給されました。使用者としてではなく、いくつかの国の航空会社でも運用され、アフガニスタンやアンゴラのような紛争地域でも活躍しました。特にソ連時代には、軍用としてアフガン戦争にも投入され、物流や医療支援など多岐にわたった使用がされました。

機体構造

An-26の機体は全金属製で、胴体は半モノコック構造を採用しています。高翼式の主翼は安定感があり、ターボプロップエンジン2基を搭載しています。この機体は飛行特性にも優れ、広範囲な運用が可能です。最大離陸重量は24,400kg、航続距離は最大で2,550kmに達します。

多様な派生型

An-26は様々な派生型が開発され、自衛用の輸送機や医療機、さらには気象観測機などにも改修されてきました。特に「空中救急車」としてのAn-26 ヴィータや、積乱雲観測機としてのAn-26 ポゴーダなどが有名です。また、各種改修によって旅客機仕様のバリエーションも持っています。

結論

An-26はその信頼性と多用途性から、多くの国で長年にわたり運用されています。経年劣化による退役が進んでいるとはいえ、今なお多くの機体が現役で活躍しており、その実績と性能は歴史的な評価を受けています。今後のさらなる近代化の展望も期待されています。

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