An-72 (航空機)

An-72の概要

An-72（アントノフ72）は、旧ソ連のアントノフ設計局が開発した双発の短距離離着陸が可能なジェット輸送機です。この航空機は、1970年代に軍用輸送を主な目的として開発され、1977年12月22日に初飛行しました。また、NATOコードネームは「コーラー」と呼ばれ、特にエンジンの配置が特徴的で、正面から見ると耳のように見えることから、ロシアのキャラクター「チェブラーシカ」の愛称でも知られています。

機体の特長

An-72は、兵員や物資の輸送に特化した設計がなされており、キャンパスシートを用いることで68人、空挺部隊なら57人の兵員を搭乗させることが可能です。また、この機体は「STOL」性能を備えており、未舗装の滑走路でも短距離の離着陸ができます。エンジンは主翼の上面に設置され、コアンダ効果を利用して飛行性能を向上させています。このデザインは、アメリカのボーイング社が開発したYC-14にも似ていますが、YC-14は計画が中止されたため、An-72は唯一の実用化された構造となっています。

An-72とその派生型であるAn-74は、極地や砂漠など、厳しい環境条件に withstand しながら運用することができ、商業的な貨物輸送機としての成功を収めています。エンジンの配置地やT字尾翼形状など、機体設計は非常にユニークです。

運用歴と派生型

An-72には複数の派生型が存在します。具体的には、原型機のAn-72の他に、ストレッチタイプのAn-72A（コーラーC）、哨戒機型のAn-72P、民間型のAn-74などがあります。これらの機体は様々な目的で利用されており、特にAn-72は1997年と1998年のパリ・ダカールラリーにも使用されました。

2006年には、世界中で51機のAn-72およびAn-74が運用されており、各国の航空会社や軍隊にて使用されています。例えば、ロシアのガスプロムアヴィアやアルメニア航空などがその一部を運用しています。各国の軍でも広く利用されており、エジプトやカザフスタン、リビアなどがその代表的な例です。

諸元と性能

An-72の基本的な諸元には、乗員3名、兵員68名または空挺部隊57名を収容可能で、ペイロードは約10,000 kgです。全長は28.07m、全高は8.65m、翼幅は31.89m、空虚重量は19,050kg、最大離陸重量は34,500kgです。使用されるエンジンはZMKB イーフチェンコ製のD-36 ターボファンで、最大速度は705 km/hに達します。

An-72の航続距離は、フェリー時に約4,800 km、最大積載時には800 kmです。実用上昇限度は11,000mに設定されており、短距離での離陸および着陸が可能です。これらの特性によって、多様な環境での運用が実現しています。

まとめ

An-72は、その独特なデザインと性能により、軍用・民間用として幅広い運用がなされている航空機です。短距離離着陸能力と堅牢な構造を備え、様々な環境に対応可能な輸送機として、現在も多くの国で活躍しています。

もう一度検索