Arch Linux ARM

Arch Linux ARMは、ARMプロセッサを搭載したデバイス向けに開発された、Arch Linuxの移植版です。オリジナルのArch Linuxと同様に、Unixライクな設計思想を基盤とし、「簡潔さ」と「エンドユーザーによる完全な制御」を重視しています。

このディストリビューションは、ユーザーがシステムを細部までコントロールできる自由度を提供する一方で、その自由度の高さゆえに、Linuxに関する一定の知識と経験が求められます。そのため、Linux初心者にとっては、少しハードルが高いディストリビューションと言えるでしょう。

開発の歴史

Arch Linux ARMは、2002年3月11日にリリースされた、ミニマリストを追求したLinuxディストリビューションであるArch Linuxをベースにしています。ARMプロセッサ搭載デバイス向けの公式移植版というアイデアは、当初Arch Linux PlugAppsとArchMobileの開発チームのメンバーから生まれました。

特に、Mike Staszel氏は、このプロジェクトを立ち上げた人物として知られています。現在、Arch Linux ARMの主要な開発者はKevin Mihelich氏が務めています。開発はコミュニティ主導で行われ、ソフトウェア開発とユーザーサポートは、すべてボランティアと寄付によって支えられています。

Ubuntuなどの他のコミュニティ主導のオペレーティングシステムと比較すると、Arch Linux ARMのユーザーベースは比較的小さいため、ユーザーによる開発への積極的な参加が不可欠となっています。

Arch Linux ARMは、ローリングリリースモデルを採用しており、新しいソフトウェアがリリースされるたびにパッケージ化が行われます。この小規模で頻繁なアップデートサイクルは、安定したパッケージを定期的に大規模リリースするDebianのようなディストリビューションとは対照的です。

サポートされているプロセッサ

Arch Linuxは、x86-64アーキテクチャのCPUをサポートしていますが、Arch Linux ARMは、ARM CPUおよびRaspberry Piのようなシングルボードコンピュータを対象としています。具体的には、以下のプロセッサがサポートされています。

ARMv7 第一世代 Cortex-A8プラットフォーム（BeagleBoard、CubieBoardなど）
ARMv7 第二世代 Cortex-A9およびTegraプラットフォーム（PandaBoard、TrimSliceなど）
ARMv7 第三世代 Cortex-A7およびCortex-A15プラットフォーム（Cubieboard2、Odroid XU、Samsung Chromebook (series 3)、Samsung Chromebook 2、Raspberry Pi 2など）
ARMv8 64-bit対応 Cortex-A53およびCortex-A72プラットフォーム（Odroid C2およびN2、Acer Chromebook R13、Raspberry Pi 3など）

Arch Linux ARMは、Raspberry Pi 3および4の64-bit ARMv8命令セットを含む、すべてのARMv7またはARMv8命令セットをサポートするデバイス上で動作可能です。サポートは公式プラットフォームとコミュニティによるものがあります。

反響

Arch Linux ARMは、軽量Linuxディストリビューションとして人気を集めており、特にシングルボードコンピュータのユーザーの間で広く利用されています。また、コミュニティによる手厚いサポートも、Arch Linux ARMの魅力の一つです。

その他

Linux_distributions'>Linuxディストリビューションの一覧（英語）
Linuxディストリビューションの比較

外部リンク

公式ウェブサイト
distrowatch.comによるARM対応のLinuxディストリビューションのリスト

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