BeagleBoard(ビーグルボード)およびBeagleBone(ビーグルボーン)は、
テキサス・インスツルメンツ(TI)がDigi-Keyの協力を得て
開発した、省電力かつ低コストのシングルボード
コンピュータです。これらのボードは、オープンソースの理念に基づき
設計されており、
教育用から組み込みシステム
開発まで、幅広い用途で利用されています。
BeagleBoardの誕生と進化
BeagleBoardは、TIのOMAP3 SoCの技術を実証するために
開発されました。世界中のエンジニアが
オープンソースハードウェアとソフトウェアを共有し、学び合うことを目的に、TIのエンジニアチームによって
設計されました。このボードは、
クリエイティブ・コモンズのShare-alikeライセンスで提供され、活発なコミュニティがbeagle.orgを中心に形成されています。
BeagleBoard Rev. C4
BeagleBoardの初期モデルであるRev. C4は、約75x75mmのコンパクトな
基板サイズに、ARM Cortex-A8コアのOMAP3530プロセッサを搭載しています。グラフィック処理には
PowerVR SGX530 GPU、ビデオ/オーディオデコードにはTMS320C64x+ DSPを搭載しています。256MBのNAND Flashメモリと128MBのDRAMを搭載し、Windows CE、
Linux、Symbianなど、多様な
オペレーティングシステムに対応しています。
BeagleBoard-xM
BeagleBoardの後継機であるBeagleBoard-xMは、
CPU性能とメモリ搭載量を強化したモデルです。DM3730プロセッサを搭載し、DRAMは512MBに拡張されました。オンボード
イーサネットポートと4ポートのUSBハブを備え、microSDカードからの起動に対応しています。フラッシュメモリは非搭載ですが、Angstrom
Linuxがプリインストールされた4GB microSDカードが付属しています。
BeagleBoneの登場と発展
BeagleBoneは、BeagleBoardのコンセプトを継承しつつ、よりコストパフォーマンスを高めたモデルです。BeagleBone Blackは、
機能向上とコスト削減を両立させた代表的なモデルです。
BeagleBone Black
BeagleBone Blackは、1GHzのAM3359プロセッサを搭載し、512MBのDDR3Lメモリと2GBのeMMCストレージを備えています。
HDMI出力、有線LANポート、microSDカードスロットを搭載し、組み込みシステム
開発における多様なニーズに対応します。
オプションボードとケース
BeagleBoardやBeagleBoneには、
機能拡張のためのさまざまなオプションボードが用意されています。BeagleBoard ZippyやBeagleTouch Displayなどがその例です。また、ボードを保護するためのアクリルケースや、犬小屋を模したユニークなケースも存在します。
クローンと類似製品
BeagleBoardやBeagleBoneのコンセプトに影響を受けたクローン製品や、類似製品も多数存在します。Touch Book、IGEPv2、ICETEK Mini Boardなどがその例です。また、Raspberry PiやPandaBoardなど、同様のコンセプトを持つ他のシングルボード
コンピュータも存在します。
開発環境とOS
BeagleBoardとBeagleBoneは、多様な
オペレーティングシステムに対応しており、Android、Angstrom
Linux、
Fedora、
Ubuntu、Windows CEなど、多くのOSが利用可能です。ブートローダーはROMまたはmicroSDカードに格納され、USERボタンで起動メディアを切り替えることができます。
コミュニティとリソース
BeagleBoardとBeagleBoneは、活発なコミュニティによって支えられています。beagleboard.orgをはじめ、多くのオンラインリソースが提供されており、
開発を支援する情報やツールが豊富に存在します。これらのボードは、オープンソースの精神に基づき、ハードウェアとソフトウェアの知識を共有し、新たなイノベーションを生み出すためのプラットフォームとして、その役割を果たしています。
BeagleBoardとBeagleBoneは、
教育、ホビー、プロトタイピング、組み込みシステム
開発など、幅広い分野で活躍しています。そのオープンソースの性質と豊富なリソースは、エンジニアや学生にとって、非常に貴重な学習と
開発の機会を提供しています。