Asterisk (PBX)

Asterisk（アスタリスク）とは

Asteriskは、アメリカのアラバマ州に拠点を置くDigium社によって開発された、オープンソースのIP-PBX（IP電話交換機）ソフトウェアです。その名前は、アスタリスク記号「」に由来しています。このソフトウェアはGPLバージョン2のライセンスの下で配布されており、世界中のプログラマーが開発に貢献している点が大きな特徴です。

概要

Asteriskの開発はDigium社のマーク・スペンサー氏が主導していますが、オープンソースプロジェクトとして、世界中の開発者が参加し、機能の拡張やバグ修正に貢献しています。これにより、Asteriskは非常に柔軟で、多様なニーズに対応できるソフトウェアへと成長しました。

様々なオペレーティングシステムに対応しており、Linux、FreeBSD、OpenBSD、NetBSD、Solaris、macOSといった主要なOSで動作します。また、Windows環境でも「AsteriskWin32」として利用可能です。

特徴

Asteriskには、以下のような多くの機能が搭載されています。

ボイスメール機能: 留守番電話として機能し、不在時のメッセージを録音できます。
音声会議機能: MeetMeという機能により、電話会議サービスを簡単に構築できます。
自動音声応答（IVR）機能: 音声による自動応答システムを構築し、ユーザーの操作に応じて適切な応答を返すことができます。
自動着信呼配分（ACD）機能: コールセンターなどで利用される、着信を待ち時間順に振り分けたり、一斉に着信させたりする機能を提供します。
PSTN（公衆交換電話網）への接続: Digium社や他のメーカーから発売されている回線ボード（Zaptelコンパチブルカード）を利用して、既存の電話回線に接続できます。ただし、これらの回線ボードの多くは日本の技術基準適合認定（技適）を受けていないため、直接接続はできません。しかし、ISPが提供するIP電話やひかり電話などを利用して、回線ボードなしで接続する方法も実現されています。
保留機能: パーク保留機能が利用可能で、保留音は自由に設定できます。また、日本のラインキーによる操作はまだ実装段階ですが、擬似的なラインキーとして利用する方法があります。
AGI（Asterisk Gateway Interface）: スクリプト連動機能を利用することで、CGIのようにモジュールを作成できます。
SLA（Shared Line Appearances）サポート: 複数人で共有する回線をサポートします。
T.38 パススルーサポート: FAXの送受信をサポートします。
SNMP サポート: ネットワーク監視プロトコルをサポートします。

利用可能なプロトコル

Asteriskは、以下のような多様なプロトコルをサポートしています。

SIP (Session Initiation Protocol)
H.323
IAX (Inter-Asterisk eXchange)
MGCP (Media Gateway Control Protocol)
Skinny (SCCP/Skinny Call Control Protocol)
UNISTIM (Nortel UNIStim/Unified Networks IP Stimulus)
XMPP (Extensible Messaging and Presence Protocol)

利用可能な音声圧縮コーデック

様々な音声コーデックをサポートし、高品質な音声通信を実現できます。

ADPCM
G.711（A-law および μ-law）
G.722
G.723.1（パススルーのみ）
G.726（G.726 RFC3551 および G.726 AAL2）
G.729 (G.729A)
GSM
iLBC
SLIN (Signed Linear PCM)
LPC-10
Speex (SpeeX)

歴史

Asteriskは、2002年1月のバージョン0.1.10のリリースから始まり、その後、様々な機能追加や改善を経て、現在に至っています。主なリリース履歴は以下の通りです。

2002年1月: 0.1.10 リリース
2003年4月: 0.4.0 リリース
2004年9月: 1.0.0 リリース
2005年11月: 1.2.0 リリース
2006年12月: 1.4.0 リリース
2008年10月: 1.6.0 リリース
2010年10月: 1.8.0 リリース
2011年12月: 10.0.0 リリース
2012年10月: 11.0.0 リリース
2013年12月: 12.0.0 リリース
2014年10月: 13.0.0 リリース

関連項目

インターネット電話
IP電話
VoIP

外部リンク

日本Asteriskユーザ会（Googleグループ内）
VoIP-Info.jp
Asteriskを使う---ITproの連載記事
見積もり2億円のIP電話を820万円で構築した秋田県大館市から学べること (ITpro - 2009年2月9日)
本当はそれほど安くないAsteriskによるIP電話(ITpro - 2009年3月18日)
* Asteriskオフィシャルサイト

これらの情報から、Asteriskは非常に多機能で、柔軟なカスタマイズが可能なIP-PBXソフトウェアであることがわかります。オープンソースであるため、多くの開発者の知恵が結集し、継続的に進化しています。

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