BS-3 100mm野砲

M1944 100mm野砲（BS-3）

M1944 100mm野砲（BS-3）（100-мм полевая пушка обр. 1944 г. (БС-3)）は、第二次世界大戦中にソビエト連邦が開発した対戦車砲兼用の野砲です。

開発経緯

独ソ戦において、ソ連軍は当初、76.2mm ZiS-3野砲や122mm A-19カノン砲などを対戦車砲として運用していました。しかし、クルスクの戦いに登場したパンターやティーガーI重戦車に対しては、ZiS-3の威力不足が課題となりました。

より強力な砲として、旧式のZiS-2 57mm対戦車砲やA-19も存在しましたが、ZiS-2は生産コストが高く、A-19は重量過大で機動性に欠けるという問題がありました。また、当時ソ連では、HEAT弾頭を用いた携帯対戦車兵器の開発が遅れており、ZiS-3よりも高威力でA-19よりも軽量な対戦車砲が求められました。この要求に応える形で開発されたのが、BS-3 100mm野砲とD-44 85mm野砲です。

運用

BS-3は対戦車砲としての運用を主眼に置いて開発され、軍団直轄の砲兵連隊に配備されました。ZiS-3の後継としてはD-44が予定されていましたが、開発・生産が終戦に間に合いませんでした。

戦後はD-48 85mm対戦車砲やT-12 100mm対戦車砲の開発に伴い、第一線から退きました。その後、ワルシャワ条約機構加盟国、エジプト、シリア、インド、モンゴル、中国、北朝鮮などに供与され、中東戦争や印パ戦争などで使用されました。現在でもロシア連邦軍で多数が予備兵器として保管されています。

エジプトでは、T-34-85の砲塔を改造し、BS-3を搭載したT-100（T-34/100）駆逐戦車を製造しました。

2022年からのロシアによるウクライナ侵攻では、ウクライナ国境警備隊にBS-3が配備されていることが確認されています。

現状

キプロス - 2023年時点で、キプロス国家守備隊が6門を保有
キルギス - 2023年時点で、キルギス陸軍が18門を保有

スペック

口径：100mm
全長：9.37m
全幅：2.15m
重量：3,650kg
砲身長：5,960mm（59.6口径、マズルブレーキと薬室を含む）
仰俯角：-5°~+45°
左右旋回角：58°
運用要員：6-8名
砲口初速：900m/毎秒
発射速度：8-10発/分（最大）
射程：20,000m（標準榴弾）
生産期間：1944年-
生産総数：3,816門

登場作品

ゲーム
War Thunder: ソ連のプレミアム車両T-34-100として購入可能
トータル・タンク・シミュレーター: ソ連・ドイツの改カノン砲として使用可能

関連項目

野砲
対戦車砲
* 8. 8 cm PaK 43

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