ZiS-2 57mm対戦車砲

M1941 57mm対戦車砲（ZiS-2）

M1941 57mm対戦車砲（ZiS-2）は、第二次世界大戦中にソビエト連邦が使用した対戦車砲です。

開発経緯

1940年、ソ連は従来の53-K 45mm対戦車砲よりも強力な対戦車砲の開発を開始しました。同年5月には砲が完成し、1941年に制式採用され量産が開始されました。1941年6月に独ソ戦（大祖国戦争）が勃発すると、ZiS-2は同年12月のモスクワ防衛戦に投入されました。

しかし、当時のドイツ主力戦車であったIII号戦車やIV号戦車は、ZiS-2でなければ太刀打ちできないほどの重装甲ではありませんでした。加えて、ZiS-2は小口径長砲身のため生産コストが高く、1941年中の生産数は371門に留まりました。ただし、砲架はZiS-3 76mm野砲に流用され、生産が継続されました。

1942年末、ドイツがティーガーI重戦車やパンター中戦車といった重装甲の新型戦車を開発すると、従来のM-42 45mm対戦車砲では全く歯が立たず、ZiS-3 76mm野砲でも側面か正面の300m程度の至近距離からでなければ対抗できませんでした。そのため、ソ連国家防衛委員会は1943年6月15日にZiS-2をM1943 57mm対戦車砲として、また、戦車砲型のZiS-4MをT-34-57駆逐戦車用として量産を再開することを決定しました。再設計されたZiS-2は終戦までに9,645門が製造されました。
しかし、新型のZiS-2で編成された部隊が前線に到着したのは1943年7月27日のことで、クルスクの戦いには間に合いませんでした。

小口径対戦車砲の価値が低下したため、1950年代半ばには陸軍から退役しましたが、空挺軍ではより長く運用されました。

概要

ZiS-2は、復座時に開放と排莢を行い、弾薬装填時に閉鎖する半自動式尾栓を採用しており、これにより高い連射速度を実現しています。砲架の車軸にはコイルスプリング式サスペンションが装備されており、最大で時速50km、不整地でも時速10kmでの高速牽引が可能です。

ZiS-2をT-20コムソモーレツ装甲牽引車の車体に搭載したZiS-30対戦車自走砲も開発されました。

スペック

口径：57mm
全長：7.03m
重量：1,250kg
砲身長：4,160mm（73口径）
仰俯角：-5°~+25°
左右旋回角：56°
発射速度：25発/分（最大）
射程：8,400m
生産期間：1941年、1943年-?
生産総数：10,016門

関連項目

対戦車砲
オードナンス QF 6ポンド砲（イギリス）
5 cm PaK 38（ナチス・ドイツ）
ZiS-30
* ASU-57

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