BTR-70

BTR-70: ソビエト連邦の装甲兵員輸送車

BTR-70は、1972年にソビエト連邦において採用された装甲兵員輸送車です。この車両は、1976年から1980年の間に製造され、旧型のBTR-60PBを基にした改良型として位置づけられています。

構造と機能

BTR-70の車体サイズは、先代のBTR-60と大きな違いはありませんが、エンジン性能の向上に伴いエンジン室が大型化しました。これにより、乗員室はやや小型化されました。加えて、BTR-60の上部にのみ存在していた乗降用ハッチの改善が施され、逆三角型のハッチが第2、第3車軸の間に新たに追加されています。しかし、ハッチのサイズが小さいため、乗降の迅速性には欠けるポイントも残されています。

BTR-70は、KPVT 14.5mm重機関銃とPKT 7.62mm機関銃を搭載した全周砲塔を装備しています。砲塔の俯仰角度は-5度から+30度まで調整可能です。さらに、AGS-17自動擲弾銃を搭載した派生型も開発されています。側面のガンポートの配置はわずかに変更されており、車両に設置された消波器はBTR-60ではみられない新たな特徴です。

乗員は、車内からタイヤの空気圧を調整することが可能であり、NBC（核・生物・化学）防護装置が搭載されているため、危険な環境下でも運用が可能です。また、水上での浮力性能を持ち、装置されたウォータージェットにより推進も行えます。

実戦経験

BTR-70はアフガニスタン侵攻で初めて実戦に加盟し、その結果は必ずしも良好ではありませんでした。ガソリンエンジンが搭載されているため、被弾時に火災を発生しやすく、BTR-60と同様に「燃える車輪付き棺桶」といった不名誉な名称が付けられました。狭い側面ハッチは完全武装の兵士には使い勝手が悪く、上部からの乗降が必要となり、その結果、対抗勢力にとって容易な標的となりました。その後の経験から、改良型であるBTR-80にはディーゼルエンジンと拡大した側面ハッチが搭載されることとなりました。

BTR-70は、国際連合平和維持活動でも使用され、ボスニア・ヘルツェゴヴィナでの任務においてネパール軍とパキスタン軍が運用しています。また、チェチェン紛争でも装甲を強化され使用されましたが、市街戦において増加した装備（外部増槽やハッチ、砲塔など）が携帯対[[戦車ミサイル]]による攻撃にさらされ、大きな損失を被る結果となりました。

派生型

BTR-70の派生型にはいくつかのバリエーションがあります。例えば、前期生産型のBTR-70 M1978や、後期生産型のBTR-70 M1986/1（ターレットと装甲の強化が行われている）があります。また、通信用のBTR-70MSや、指揮官用車輌BTR-70KShM、回収車輌のBREMなども開発されています。他にも、化学兵器検知車輌やジャミング車輌、対空ミサイル搭載型、AGS-17を搭載した型など、多様な派生型が存在します。最新のアップグレードとして、BTR-80の砲塔に換装されることも見受けられます。

また、BTR-70シリーズは他の国でも改良や更新が進められ、中国やベラルーシ、ルーマニアなどで新型仕様が製造されています。

まとめ

BTR-70は、ソビエト連邦の軍事技術の進化の一部として位置づけられ、高い多用途性と独自の設計が特徴の装甲兵員輸送車です。実戦での教訓を受けつつ、改良型が登場していく過程が見受けられるデザインとなっています。

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