BVP M-80

BVP M-80：ユーゴスラビアが生んだ歩兵戦闘車

BVP M-80は、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国がM-60P装甲兵員輸送車の後継として開発した歩兵戦闘車です。ユーゴスラビア人民軍の兵器工廠で設計され、機械化歩兵部隊の主力として活躍しました。

開発と生産

M-80の開発は1969年に開始され、1974年には試作車が完成しました。西ドイツ製のエンジンを搭載し、1980年から量産が開始されました。しかし、ユーゴスラビア国内の民族対立が激化し、1991年にユーゴスラビア社会主義連邦共和国が崩壊。その影響で、M-80の生産も中止されました。生産数は800〜1000両程度と推定されています。

車体形状はソ連製のBMP-1やBMP-2に類似していますが、完全なコピーではありません。独自の設計が取り入れられています。

運用

M-80は輸出されておらず、採用国は旧ユーゴスラビア構成国に限られています。セルビア、クロアチア、スロベニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、北マケドニアなどで運用されてきました。しかし、2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受け、スロベニアがウクライナへの支援としてM-80を35両供与しました。

派生型

M-80には、様々な派生型が存在します。

M-80: 初期生産型。生産数は少数です。
M-80A: 標準型。エンジンを換装し、細部を改良しています。
M-80A1: M-80Aをベースとした偵察車仕様。試作のみ。
M-80A KC: 中隊長車両。通信機器を増設しています。
M-80A KB: 機甲大隊または機械化大隊の大隊長車両。
VK-80A: 旅団長向けの指揮通信車。武装は7.62mm機関銃のみ。少数生産。
M-80A sn: 救急車仕様。非武装。屋根に長方形ハッチ、後部にドアがあります。運転手と衛生兵3名が搭乗し、担架4名または座席8名の負傷兵を収容可能。
M-80A LT: 戦車駆逐車。BOV-1と同じ9M14マリュートカ対戦車ミサイルの6連装ランチャーを搭載。
Sava M-90: 9K35 ストレラ-10M短距離地対空ミサイルを搭載した車両。試作のみ。
SPAT 30-2: 30mm機関砲2門を装備した砲塔を搭載した自走式対空砲。
MOS: 自走式地雷敷設車。
M-80A1/M-98A Vidra: セルビアが新たに試作した改良型。

関連項目

歩兵戦闘車
BMP-1 / BMP-2
M-60P装甲兵員輸送車
BOV装甲兵員輸送車

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