Biodiversity Heritage Library

生物多様性遺産図書館（Biodiversity Heritage Library, BHL）

生物多様性遺産図書館（BHL）は、インターネット上のデジタル図書館であり、生物多様性に関する貴重な文献を電子化し、広くオープンアクセスで提供しています。このプロジェクトは、世界各地の図書館や博物館、植物園、研究機関との連携を持ち、多様な知識の共有を促進しています。

概要

BHLは、特に分類学の研究において重要な役割を果たしています。分類学は、生物の分類や命名に関する学問であり、多くの文献や標本に依存しています。しかし、関連する文献や標本は、これまで先進国の一部の機関に集中していました。そのため、BHLは文献へのアクセス障壁を排除し、全世界の研究者が生物多様性に関する文献にアクセスできるようにすることを目指しています。2021年現在、BHLの蔵書は15世紀から21世紀までにわたり、総数は数十万冊、ページ数は5900万ページを超えるとされています。そのため、BHLは生物学関連のデジタル図書館として世界最大規模を誇ります。

このライブラリでは、パブリックドメインの文献が多く含まれていますが、権利者からの許諾を得た上でクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの下で提供される文献もあります。また、分類学に関連するデータのアクセス性を向上させるため、DOIの割り当てやダウンロード・エクスポートサービスなど、研究者が利用しやすい機能も充実しています。

沿革と提携機関

BHLは2006年にスミソニアン図書館にて設立が決定し、2007年には公式なウェブサイトが開設されました。設立当初、アメリカやイギリスに本部を置く10の機関がコンソーシアムに組織されました。その中には、アメリカ自然史博物館図書館やフィールド博物館、ハーバード大学植物学図書館などの著名な機関が含まれます。さらに、後にアメリカ議会図書館やインターネットアーカイブなどの多くの機関が加盟し、国際的な取り組みとして成長を続けています。

現在では、BHLはグローバルパートナーとして様々な地域に拠点を置いています。BHL Europe（ヨーロッパ）、BHL Egypt（エジプト）、BHL China（中国）、BHL Australia（オーストラリア）、BHL SciELO（南米）、BHL Africa（アフリカ）、BHL Singapore（シンガポール）、BHL Mexico（メキシコ）など、地域ごとに専門的なサポートを提供しています。また、他の国際的な機関と提携し、分類学的な取り組みを強化しています。

賞と評価

BHLは、その活動に対して複数の賞を受賞しています。例えば、2010年にはALCTSからOutstanding Collaboration Award、2011年にはSociety for the History of Natural HistoryからJohn Thackray Medalを獲得しました。さらに、2015年にはInternet ArchiveからHero Awardを頂くなど、知識共有の領域での影響力を高め続けています。また、BHLにちなむ名称を持つ生物も誕生しており、その貢献は今後も高く評価されることでしょう。

このようにBHLは、生物多様性に関する重要な情報の収集と提供において、国際的な協力を進め、世界中の研究者や愛好者に不可欠なリソースを提供しています。

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