Blue Waters

Blue Watersについて

Blue Waters（ブルーウォーターズ）は、アメリカ合衆国のイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校と国立スーパーコンピュータ応用研究所（NCSA）が共同で開発しているペタスケールスーパーコンピュータです。このプロジェクトは、アメリカ国立科学財団（NSF）によって承認され、科学技術計算の分野での革新を目指しています。その名の通り、Blue Watersは高性能な計算能力を提供し、多様な科学研究者のニーズに応えられることが期待されています。

プロジェクトの背景と目的

2007年にNational Science Boardが、日本を含む国際的な科学コミュニティに向けて、最も強力なスーパーコンピュータの開発を認可しました。NSFは、このBlue Watersプロジェクトに約2億ドルを投じる計画を立て、2011年には完成を目指すこととなります。その際、スーパーコンピュータの性能は最低でも1ペタフロップス（毎秒1000兆回の浮動小数点演算）の実行が可能なものが求められていました。

当初、IBMが共同開発者として参加していましたが、2011年に開発が予定よりも複雑になり、費用が膨らんだため、IBMは契約を解消することを発表しました。その結果、クレイが後にプロジェクトを引き継ぐこととなりました。

コンピュータの仕様と性能

Blue Watersは、以下の構成を計画しています。なお、クレイ受注後の変更も考慮に入れています。

• - 25,000個以上の8コアPOWER7 CPU（合計200,000コア）
• - メインメモリは1ペタバイト以上
• - ディスク装置は10ペタバイト以上
• - アーカイブストレージは0.5エクサバイト
• - 最大400ギガビット/秒の外部接続

このスーパーコンピュータは、科学技術計算を行う際、持続的に1ペタフロップス以上の演算能力を発揮する予定です。これにより、既存のIBMのBlue Gene/Lよりも約4倍の速度が期待されています。

施設設計

Blue Watersには、特別な冷却と電力供給の設備が必要です。イリノイ大学は「Petascale Computing Facility」を設計・構築中であり、ここではBlue WatersとNCSAの他のインフラが収容されます。この新しい施設は通算で88,000平方フィートの防火ビルを必要とし、その中に約20,000平方フィートのマシンルームを持つ予定です。環境への配慮から、LEED認証取得を目指す設計が採用されています。

冷却システムには、大学キャンパスの水冷システムと、イリノイ州の冬季の低温を利用するための追加的な冷却タワーが組み込まれます。最新の流体力学モデルも用いて、効率的に冷却が行えるように設計されています。

未来の展望

クレイがプロジェクトを引き継いだ後、Blue Watersは、AMD Opteron 6200プロセッサを搭載した235台以上のCray XE6システムと、NVIDIA Tesla GPUを搭載したスーパーコンピュータ30台以上によって構成されることが決まりました。これにより、従来の性能目標である1ペタフロップス以上の実行が継続的に可能となります。

Blue Watersは、今後様々な分野で科学技術の発展を支える重要なインフラとして期待されており、研究者たちの挑戦を支える役割を果たすことでしょう。

もう一度検索