C-9 (航空機)

C-9航空機の概要

C-9は、ダグラスのDC-9-30を軍用用に改造した旅客機です。この機体は、1967年にアメリカ空軍によって正式に採用され、主に医療輸送や政府高官の輸送に使用されました。具体的には、航空医療後送型のC-9Aが21機、VIP輸送型のC-9Cが3機という編成で運用されました。

C-9A: ナイチンゲール

C-9A型は「ナイチンゲール」として知られ、1968年から1973年にかけて配備されました。これらの機体はスコット空軍基地やドイツのラインマイン空軍基地、フィリピンのクラーク空軍基地（後に日本の横田基地に移動）などに配置されています。本機は医療搬送を目的とした設計で、最大で担架40床または座席40席を搭載可能であり、両者を組み合わせることもできます。また、重症患者向けの特別なケアコンパートメントを装備し、そこでは常に5名の医療スタッフが必要です。

特に注目すべき点は、機体の左側前部に設けられた大型の昇降口です。この扉は緩やかな傾斜を持っており、車椅子や担架を使った搬入が容易に行えるよう工夫されています。しかし、C-9Aは短い航続距離という欠点を抱えており、また空中給油にも対応していないため、2005年に退役しました。その後は、C-21AやC-130といった別の機種が短距離輸送の任務を引き継ぐこととなりました。

C-9B: スカイトレインII

次に紹介するのはC-9B型、「スカイトレインII」として知られる機体です。この型はアメリカ海軍および海兵隊によって運用され、通常の人員や貨物輸送に特化しています。1973年から受領が始まり、C-9Aと類似する性能を有し、患者輸送型に転換することも可能です。C-9Bは新規に製造された他、1982年以降は民間で運用されていた中古のDC-9を改装して使用するケースもありました。長年にわたり兵士の輸送を担っていましたが、近年はC-40Aと交代しつつあります。退役したC-9Bのうち1機はNASAの微小重力訓練機「嘔吐彗星」として再利用されるなど、新たな役割を担っています。

C-9C: VIP輸送機

C-9C型は1973年に3機が発注され、大統領を始めとした政府要人の移動に利用されてきました。この機体は、当初「VC-9C」と呼ばれており、後にC-9Cと改名されました。1975年にはアンドルーズ空軍基地に配備され、以降、重要な公式行事での移送機として活躍しています。

その他のバリエーション

C-9シリーズは米国以外でも導入されています。クウェート空軍がC-9Kを2機、ベネズエラ空軍がDC-9-15を1機、イタリア空軍がDC-9-32を2機導入しましたが、いずれも現時点では退役しています。

要目

C-9は基本的にDC-9-30の仕様に準じています。以下に要目を示します。

• - 全長: 36.37m
• - 全幅: 28.47m
• - 全高: 8.38m
• - エンジン: プラット・アンド・ホイットニー JT8D-15 ターボファン 2基

C-9はその運用において多様な役割を果たし、アメリカの軍事輸送機として重要な地位を確立しました。多機能性を持ちながらも特定の問題点を抱え、結果的に後継機への移行が進んだことがこの機体の歴史となっています。

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