CDix

ソニーのコンパクトカセット「CDix」

CDix（シーディックス）は、ソニー（現・ソニーグループ）が1988年から2010年にかけて製造・販売していたコンパクトカセットの商品名です。1980年代、CDの登場とレンタルレコード店の普及により、CDやレコードの録音ニーズが高まり、その需要に応える形でCDixは誕生しました。

発売の背景と初期ラインナップ

1980年代後半、カセットテープのラインナップは細分化され、CD録音に特化した分数のテープが登場しました。初期のCDixはノーマルポジションのみで、20分、40分、50分、70分のものが発売されました。この頃から各社が「CD〇〇」といった名前のテープを発売するようになり、CDixはその先駆け的な製品となりました。

音楽録音専用カセットテープとしてはエントリーグレードに位置づけられ、ESやProといった高級グレードとは異なるものの、CD録音に特化した仕様から、それなりの高音質を実現していました。1995年の時点では、10分から120分までの幅広いラインナップが存在していました。

モデルチェンジと生産終了

1997年のモデルチェンジを最後に、CDix IVが2000年3月までに製造・出荷を終了。その後、ソニーはカセットテープの自社生産から撤退しました。2010年末までは、ノーマルポジションとハイポジションのテープが販売されましたが、2011年のタイ洪水により製造ラインが浸水し、磁気テープ製造工場が操業を終えることとなりました。なお、HF（ノーマルポジション）は、自社生産終了後、マクセルULのOEMとして再発売されましたが、2015年頃に販売を終了しました。ソニー国内の磁気記録メディア製造工場も東日本大震災により甚大な被害を受け、操業を終えました。

カセットの仕様

CDixは、ノーマルポジション、ハイポジション、メタルポジションの3種類のグレードがありました。ノーマルポジションは10分から150分まで、ハイポジションは最長120分まで、メタルポジションは当初46分から80分まで、後に20分と40分も追加されました。

ハーフ（テープを収めるケース）は、1988年製と1989年製のCDix IIを除き、超音波溶着方式を採用し、低価格化を実現しました。

ノーマルポジションのグレードは、同社のHF以上HF-S以下という位置付けでしたが、1990年にHF-Sが、1991年にはHF-XやHF-ES、HF-Proが生産終了。その後、1998年時点では、HF→GiG→CDixというランク付けになっていました。競合製品としては、TDKのCDing、マクセルのCD's、AXIAのJ'zなどが挙げられます。

価格は非常に安価で、1991年のCDix4では、46分で510円でした。CDix IVは1997年にモデルチェンジを終え、ソニーが最後に開発・生産・発売したメタルポジションのコンパクトカセットテープとなりました。販売は2000年末まで続けられましたが、2001年の最終モデルチェンジを最後に、2010年末に販売終了となりました。

現在の入手方法

現在CDixを入手するには、リサイクルショップやオークションを利用するしかありません。ラベルは非常にシンプルで、インデックスカードは1枚半のものが付属していました。ケースは薄型で、裏面右上にソニーのロゴマークがありました。カセット本体のデザインは、1991年頃から派手になっていきました。

CM

1990年頃には、プリンセス・プリンセスによるテレビCMが放送され、「ROCK ME」がCMソングとして使用されました。

参考資料

ONTOMO MOOK stereo編 カセットテープ完全アルバム 僕たちの青春を彩ったカセットテープのすべて
FUTABASHA SUPER MOOK 〜ソニー・カセットテープ・マニアックス〜

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