CH-53 (航空機)

CH-53 シースタリオン（Sea Stallion）

CH-53 シースタリオンは、アメリカ海兵隊の強襲オペレーション用に開発された重量物輸送ヘリコプターで、シコルスキー・エアクラフト社が製造しています。この機体は、ヘリコプターの中でも特に大型の部類に入り、愛称の「スタリオン」は去勢されていないオスの馬を指します。また、モデル番号のS-65でも知られています。

来歴

1960年代の初頭、アメリカ海兵隊は、以前のHR2S（シコルスキー S-56）の後継となる新型の輸送ヘリコプターの開発を開始しました。最初の計画では陸海空の3軍が共同でXC-142の開発に参加しましたが、構造が複雑化したことから海兵隊は開発から撤退します。1962年には、海軍兵器局が「次期重ヘリコプター」に関する要件を提示し、シコルスキー社がこの競争に勝利。1964年にYCH-53Aの初飛行を果たしました。

海兵隊は、予算の都合でプロトタイプの数を減少させ、1966年から量産型CH-53Aの引渡しを開始しました。この機体は、航空救難や航空機の回収も可能な多用途性を兼ね備えており、戦闘や人員輸送に対応しています。CH-53Aには、最大で38名の兵士、または42名の負傷兵が搭載でき、貨物の最大積載量は3,600kg。大型機材を吊り下げて輸送する能力も保持しています。

輸送型

CH-53Aの設計は、シコルスキーS-61Rを基にし、エンジンにはゼネラル・エレクトリック製のT64を採用しました。この機体は1967年からベトナム戦争で実戦投入されています。後に、エンジンやトランスミッションの改良を施したCH-53Dが登場し、兵員輸送能力も向上し、最大55名の兵員を輸送可能となりました。

掃海型

1971年にはアメリカ海軍がCH-53Aを15機取得し、掃海任務におけるRH-53Aとして運用しました。掃海機では、機雷処分用に機関銃が装備され、特にイーグルクロー作戦では重要な役割を果たしましたが、運用が難しくて失敗に終わりました。

戦闘捜索救難型

アメリカ空軍もCH-53Aを基本にしたHH-53Bを運用し、特にベトナム戦争での救難作戦に使用されました。さらに、 HH-53HやMH-53Jといった強化型も開発され、特殊作戦や捜索救難を強化していきました。

採用国

CH-53 シースタリオンは、アメリカ合衆国以外にも、オーストリア、ドイツ、メキシコ、イラン、イスラエルなどで運用されています。特にドイツでは陸軍が運用していたものの、今は空軍に移管されています。イスラエルでは、改良型のYasurも運用されており、近代化改修が行われています。

性能・主要諸元

CH-53Dの基本仕様は以下の通りです：

• - 乗員：41名（操縦士2名、輸送責任者1名、兵員38名）
• - 全長：26.97 m
• - 主回転翼直径：22.01 m
• - 発動機：ゼネラル・エレクトリック T64-GE-413 ターボシャフト×2
• - 最大全備重量：15.227 t
• - 最大離陸重量（外部積載）：33.369 t
• - 航続距離：1,000 km

登場作品

CH-53は映画やテレビドラマでも頻繁に取り上げられています。代表的な作品には『エアポート'75』や『キングコング: 髑髏島の巨神』などがあり、アニメやゲームでも見られます。このように、CH-53シースタリオンはその確かな性能と多用途性から、様々な場面で利用されています。

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