COALTAR OF THE DEEPERS

COALTAR OF THE DEEPERS

日本のロックシーンにおいて、多角的かつ独創的なサウンドを追求し続けるバンド、COALTAR OF THE DEEPERS（コールター・オブ・ザ・ディーパーズ）。その歴史は1991年に幕を開けました。ギタリストのNARASAKIとドラマーのKANNOを中心に結成された彼らは、以来一貫して既成概念にとらわれない音楽性を探求しています。

彼らの音楽は、オルタナティブ・ロックを核としながらも、その枠には全く収まりません。シューゲイザーの浮遊感、デスメタルやスラッシュメタルのヘヴィネスと疾走感、ポスト・ハードコアの構築美、エレクトロニカの冷たい質感、さらにはネオアコ、ボサノヴァ、サンバといった一見相容れないジャンルの要素までを貪欲に取り込み、唯一無二の音世界を構築しています。バンドの中心人物であるNARASAKIは、自身の音楽性を例える際に特定のバンド名を挙げつつも、それらを単純に掛け合わせただけではない、独自のフレーバーを持つサウンドであることを示唆しています。

来歴

COALTAR OF THE DEEPERSの歩みは、ライブ活動や作品の発表に加え、メンバーの変遷によって彩られてきました。

結成当初はNARASAKIとKANNOを中心にスタート。その後、様々なメンバーが加入・脱退を繰り返し、その都度バンドのサウンドにも影響を与えてきました。特筆すべきは、メンバーチェンジの多い時期においても、NARASAKIが楽曲制作の大部分を担い、必要に応じて自身で複数のパートを演奏することで、バンドの音楽的な連続性を保ってきた点です。

活動休止期間を経ての復活ライブは、ファンに大きな喜びをもたらしました。特に2007年11月には、初期から後期の多くのメンバーが集結したスペシャルライブが実現。普段のライブでは見られない多様な編成で演奏が行われ、その模様は後のベストアルバムの特典DVDにも収録されるなど、バンドの歴史における重要な出来事となりました。2011年に行われた「まさかの復活」ライブや結成20周年記念公演も、長年のファンにとって忘れられない一夜となりました。

近年では、初期メンバー編成でのライブを行うなど、過去と現在、そして未来をつなぐ活動を展開しています。2019年のイベント出演では、VISITORS teamと呼ばれる初期編成でのパフォーマンスを披露しました。

メンバー

NARASAKI: ボーカル、ギター、ベース、プログラミングを担当。ほぼ全ての楽曲の作詞作曲を手掛け、サウンドの中枢を担います。バンド「特撮」での活動でも知られています。
KANNO: ドラム担当。結成当初からのオリジナルメンバーであり、バンドの根幹を支える存在です。

バンドのライブやレコーディングには、多くのサポートメンバーや旧メンバーが関わってきました。Plastic Treeのギタリストであるナカヤマアキラは、バンドサウンドに影響を受けたことからサポートに参加。他にも、ex-cocobatのKoji、cali≠gariなどで活動する村井研次郎、多様な音響効果を手掛けるWATCHMANなどが、それぞれのキャリアやスタイルをバンドに持ち込んでいます。

旧メンバーには、バンド名の名付け親でもあるギタリストのtakatori、結成当初からベースを担当したnagasawa、長年ベーシストを務めたYOSHIO、女性ギタリスト/ボーカリストとして一時期在籍したICHIMAKIなど、個性的な面々が名を連ねています。彼ら旧メンバーがスペシャルライブなどで再び集結する機会もあり、バンドの歴史の厚みを感じさせます。

ディスコグラフィー

COALTAR OF THE DEEPERSは、シングル、アルバム、EPなど多岐にわたる作品を発表しています。1994年の1stアルバム『THE VISITORS FROM DEEPSPACE』から、様々な実験的な試みが行われてきました。特にEP作品は多く、それぞれに異なるコンセプトやサウンド、アートワークが凝らされており、ファンにとっては重要な位置を占めます。例えば、『receive ep』に収録された長尺曲「Receive Assimilation」は、ドラムとコーラス以外をNARASAKI一人で演奏したというエピソードを持ち、その制作過程におけるNARASAKIのこだわりを示しています。また、EPのアートワークには共通するモチーフ（動物）が隠されているなど、作品全体にわたる仕掛けも魅力の一つです。

2007年には初期から中期までのEPをまとめたBOXセットがリリースされ、入手困難だった音源に触れる機会を提供しました。ベストアルバムも複数発表されており、バンドの軌跡を辿る上で欠かせない作品となっています。

2021年に発表された『REVENGE OF THE VISITORS』は、1stアルバム収録曲を当時のメンバーで再録した意欲作であり、アメリカのレーベルからもリリースされたことで、実質的な海外デビュー作品となりました。

その他、コンピレーションアルバムへの参加や、アニメ主題歌（『輪るピングドラム』エンディングテーマ「DEAR FUTURE」）を手掛けるなど、その活動は多岐にわたります。ライブ映像を収録したDVDも発表されており、彼らの圧巻のパフォーマンスを視覚的に体験することができます。

COALTAR OF THE DEEPERSは、そのカテゴライズ不可能な音楽性と、中心人物であるNARASAKIの尽きることのない探求心によって、日本のロックシーンにおいて孤高の存在であり続けています。

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